論文概要
本研究では、動物への配慮がどのように発達するかを明らかにするため、小児期および成人期において動物に対する道徳的配慮の基底にある特性をモデル化した。6~10歳の子ども241名と成人152名を対象として、さまざまな動物を7つの次元で評価することを求め、これに続く薬の割当て課題では、どの動物を先に救うかの順位付けを求めた。
構造方程式モデリングにより、動物の生命について子どもと大人が評価する際に用いる次元には、発達段階に関わらず連続している特性と、発達に伴って変化する特性があることが明らかになった。参加者は年齢に関わらず、動物の美しさや知性、人間との類似性を考慮して動物を評価していたが、年少の子どもは動物の美しさを最も重視していた。また、年長の子供や成人に比べて、動物が示す優しさにより価値をおいていた。
動物を人間の食物としての有用性から捉えて評価していたのは年長の子どもと成人のみであった。さらに、動物を評価する際に年少・年長の子供はいずれも、動物に喜びや苦しみなどを感じる能力があること(有感性)の意味を理解していなかった。成人のみは動物の有感性を考慮に入れており、人間との類似性や道徳的配慮に値する性質として捉えていた。
これらの結果は、発達の過程で動物に対する道徳的関心がいくつかの重要な点で変化しており、次第に人間中心主義的な方向へと進んでいくことを強く示している。
Heather Henseler Kozachenko, Jared Piazza
2021/06/18
How children and adults value different animal lives
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