論文概要
背景: 健康で持続可能な食生活への移行のため、動物性タンパク質の割合を植物性タンパク質に置き換えていくには、社会全体を対象とした効果的な戦略が必要である。外食サービス業界は様々な戦略を利用し、食品のサプライ・チェーン全体にわたってこれを支援することができる。
目的: 外食の場において動物性タンパク質を減らし、植物性タンパク質を増やすための戦略について、系統的レビューによって、消費量・満足度・経済的なコスト・環境負荷・栄養摂取量に関する有効性を検証する。
方法: 研究の対象は、商業的・施設的な外食サービスにおいて何らかの戦略を利用し、牛肉・羊肉・豚肉・鶏肉・卵・魚介類を減らす、もしくは豆類をベースとした代用食品・ナッツ類を増やすことを目的とした研究である。2020年11月、研究実施日に制限を付けずに7つのデータベースを検索し、主要アウトカムである消費者の摂取量を定量的・定性的に報告した査読済み研究を特定した。副次的アウトカムは、満足度・経済的なコスト・環境負荷・栄養摂取に関する効果であった。研究論文のタイトル・抄録および全文に関するスクリーニングを著者のうち2名が独立に実施した。研究の質の評価には混合研究法評価ツール(Mixed Methods Appraisal Tool)を用いた。結果は、使われた戦略の種類ごとにナラティブ・シンセシス形式で記述した。本研究のプロトコルはPROSPEROに登録されている(CRD42021235015)。
結果: データベースから抽出された20,002件のうち、38件の研究が適格基準を満たしており、質の高いものはその16%であった。研究で使用された戦略としては、完全に動物性食品を除外したもの(4件)、メニューの再設計(6件)、レシピの再設計(6件)、サービスの再設計(4件)、メニューの料理へのラベル表示(7件)、販売時における促し(7件)、これらを多面的に組み合わせたもの(4件)が含まれていた。料理へのラベル表示と販売時における促し、メニュー/レシピ/サービスの再設計は、ほとんどの研究で対象食品の摂取量を増加させていたが、その中でも一貫して効果が最も大きいのはメニューの再設計であった。副次的な結果について調査した研究はほとんどなかった。満足度に関しては、レシピの再設計・販売時点での促し・料理へのラベル表示を使った戦略が有効であった場合と、どちらともいえない場合があった。
結論: 最も有望な戦略はメニューの再設計であり、これに続くのは料理へのラベル表示、サービスの再設計であると考えられる。レシピの再設計・売り場での促し・ラベル表示が満足度に悪影響を与えることはないと思われる。経済的なコスト・環境負荷・栄養摂取量への影響を評価するためには、さらなる研究が必要である。
Garalynne Stiles, Jorja Collins, Kathryn L Beck
2021/12/21
Effectiveness of Strategies to Decrease Animal-Sourced Protein and/or Increase Plant-Sourced Protein in Foodservice Settings: A Systematic Literature Review