論文概要
海藻タンパク質は有望な代替タンパク質源として研究開発が急速に進んでおり、本稿ではこの領域の現状について詳しく検討する。従来のタンパク質源に対しては世界的な需要が高まる一方で、持続可能性や倫理の面では懸念が持たれているが、海藻はタンパク質の含有量が高く、環境への影響を最小限に抑えることができるため、これらの問題に対する現実的な解決策として浮上している。
本稿では海藻タンパク質について、その栄養組成・抽出方法・機能特性・健康に対する潜在的効果を検証して包括的な知見を提供する。海藻には必須アミノ酸・ビタミン・ミネラル・抗酸化物質が含まれ、乾燥重量の11%~32%のタンパク質を含有しているため、ベジタリアンやヴィーガンをはじめ、食事に関する様々な嗜好に応えることができる。
この総説ではまた、従来の供給源と比較して、海藻タンパク質の生産には持続可能で環境に優しいという利点があることを明らかにする。海藻の栽培は極めて少ない資源しか必要としないため、海洋酸性化をはじめとする環境問題を緩和することができる。本稿では個別の海藻の種類・抽出方法・機能特性について詳しく検討し、プラントベースの代替肉や代替乳製品、栄養補助食品など、様々な食品に海藻タンパク質を利用できることを明らかにする。
さらに、独特のアミノ酸組成を持ち、生物活性化合物を含んでいることなど、海藻タンパク質が健康にもたらす潜在的な効果について議論する。全体として、海藻タンパク質の潜在的な用途について知見を提供し、世界のタンパク質需要に持続的に対応するうえで海藻タンパク質が担う役割について考察する。
Leonel Pereira, João Cotas, Ana Marta Gonçalves
2024/04/10
Seaweed Proteins: A Step towards Sustainability?