論文概要
背景: 食事からの過剰なエネルギー摂取が、世界的に肥満が蔓延する主な原因であることはわかっている。しかし、食事に含まれる食品群の構成が異なる場合にもこれが当てはまるのかは明らかではない。本研究では、主な食品群の入手しやすさの違いが、世界各国における肥満の有病率の違いを説明できるかどうかを明らかにすることである。
方法: 各国におけるBMIの推定値(平均値、肥満および過体重の有病率)を収集し、主な食品群(肉・でんぷん・繊維・脂肪・果物)の1日1人当たり入手可能な総カロリーの3年間の平均値と照合した。各国の一人当たり国内総生産(GDP)、および身体不活動* の有病率に関するデータも併せて収集した。対数変換したデータの分析にはSPSSを使用した。
結果: 主な食品群に関するスピアマン分析では、食肉の入手しやすさは、肥満および過体重の有病率と極めて強い相関があり(r = 0.666、p < 0.001 および r = 0.800、p < 0.001)、BMIの平均値とも強く相関していた(r = 0.656、p < 0.001)。これらの強い相関は、偏相関分析によって総カロリーの入手可能性・身体不活動の有病率・GDPの影響を除外した場合でも変わらなかった。ステップワイズ法による重回帰分析では、食肉の入手しやすさは、肥満および過体重の有病率、さらに平均BMIを予測できる最も大きな要因であることがわかった。散布図によるデータのプロットは、食肉およびGDPで調整した食肉は、いずれも肥満の有病率と強く相関していることを示している。
結論: 肉を容易に入手できることには、肥満の有病率の増加と相関がある。食肉消費を削減する戦略では、(動物性食品からの)栄養の移行段階が各国で異なる場合、その効果に違いがある可能性がある。
* 世界保健機関(WHO)によるガイドラインに照らして身体活動レベルが不十分であることを指す
Wenpeng You, Maciej Henneberg
2016/04/18
Meat consumption providing a surplus energy in modern diet contributes to obesity prevalence: an ecological analysis