論文概要
健康に良い効果があることを期待して、プラントベースの食生活を選ぶ人々が増えている。菜食主義を支持するメッセージを発信し、プラントベース食品の消費に関する一般の人々の考え方に影響を与えるためには、ベジタリアンの食行動を社会経済的背景と照らし合わせて理解することが重要である。そこで本研究では、米国のベジタリアンの食事と消費行動を調査した。
本研究は、米国の国民健康栄養調査(Nutrition and Health Examination Surveys (NHANES) 2007~2010年)のデータを用いた横断研究である。NHANES の3つのモジュール(食事と栄養行動・消費者行動・食料安全保障)から選択した項目について、ベジタリアン(352人)と一般集団(14,328人)の間で比較した。米国のベジタリアンでは、雑食の人々に比べて、摂取したカロリー、コレステロールはいずれも有意に少なく、食物繊維の摂取量は多かった。ベジタリアンではさらに、家庭で入手できる清涼飲料水、塩分の多いスナックの消費量が有意に少なかった。また、果物や濃緑色野菜の消費に関しても、グループ間で同様の有意差が認められた。
ベジタリアンでは外食にかける出費が少なく、調理済み食品やインスタント食品を利用する回数も少なかった。スーパーマーケットや食料品店で支払った金額に関しては、グループ間で違いは見られなかった。本研究は、ベジタリアンの食生活と消費行動についての理解増進に寄与するもので、経済面におけるベジタリアン食の実現可能性に焦点をあて、ベジタリアン食が一般の食事に比べて必ずしも高価ではないことを明らかにした。
Maximilian Andreas, Storz,Alexander Müller, Mauro Lombardo
2021/12/22
Diet and consumer behavior in U.S. vegetarians: A national health and nutrition examination survey (NHANES) data report