論文概要
気候変動に関する話題では、温室効果ガスの排出に関連して、消費者はしばしば食肉消費を減らすことを促される。しかし、他に複数の信任因子*1があるなかで、消費者が敢えてカーボンフットプリント*2の低い食肉により多くの対価を支払うかどうかは不明である。
本稿では、製品の属性としてカーボンフットプリントを表示した食肉に対する、消費者の支払い意思額*3について調べた研究を報告する。オーストラリア人回答者1,200人を対象に、牛肉・鶏肉・羊肉・豚肉の嗜好に関する4つの離散選択実験を行った。その結果、ほとんどの消費者において3つの信任因子(カーボンフットプリント・アニマルウェルフェア・生産方法)はいずれも食肉本来の特性ほどには重要でないことがわかった。推定された混合ロジットモデルでは、カーボンフットプリントは有意ではなかった。潜在クラス分析では、カーボンフットプリントを重視する消費者は3つのクラスのうち1クラス(消費者の21%)のみであった。
*1 製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至る過程を通して排出される温室効果ガスの総量。カーボン(CO2 )の排出量に換算して表示される。 *2 環境・健康・動物福祉のように客観的に測定したり視覚したりすることができない属性で、消費者に製品の信頼性を保証するために提供される情報を指す。*3 顧客がいくらまでなら払ってもよいと思っているか、支払いたいと思う最大の金額。
Jeremy De Valck, John Rolfe, Megan Star, Darshana Rajapaksa, Michael Burton
2023/07/20
Who cares about meat carbon footprint? Exploring preferences for credence factors among Australian consumers