論文概要
目的 消費の抑制を呼びかける広告におけるメッセージ・フレーミング*1の戦略と注目度について検証した研究は乏しい。本研究では、肯定的なフレーム*2による広告と否定的なフレームによる広告ではその注目度に違いがあるかどうかを明らかにする。
デザイン・方法論・アプローチ 56人の参加者を対象とした準実験的研究デザインを実施し、ソーシャル・マーケティングの広告において、否定的または肯定的なフレーミングを用いて肉の消費削減を促した。注意(注目度)を検証するために視線追跡装置を用いた。
調査結果 全体として、否定的なフレーミングの広告は、肯定的なフレーミングの広告に比べて高いレベルの注意を誘発した(p < 0.05)。また、広告の見出しに関しては、否定的なフレーミングには肯定的なフレーミングよりも高い注意が向けられた(p < 0.05)。広告のキャッチコピーについては、肯定的なフレーミングにより多くの注意が向けられた(p < 0.05)。
独創性/価値 本研究では、消費者の注意に及ぼす影響を調べることで、否定的なソーシャル・マーケティングのフレーミング戦略が、肯定的なものに比べてより有効であることを実証した。肯定的なフレーミングと否定的なフレーミングでは、広告に含まれる要素・領域に対して、異なるタイプの注意が向けられる。これらの結果は、フレーミング広告の選択を考える際に、メッセージの配置と効果についての重要な知見をソーシャル・マーケティング関係者に提供する。
*1メッセージを受け取った相手から感情的反応を誘発したり、意思決定に影響を与えたりするために情報を構成し提示する手法 *2 情報に対する見方・受け止め方、物事や人への印象や意味を左右する心理的枠組み
Caitlin Zunckel, Pragasen Pillay, Mark Hamilton Drummond, David Rosenstein
2023/09/13
Advertising to reduce meat consumption: positive framing versus negative framing effects on attention