論文概要
世界の温室効果ガス排出量の3分の1以上は、食料システムに起因している。食料システムからの温室効果ガス排出を削減しなければ地球温暖化を1.5度または2度に抑えることは不可能である。その世界の食料生産システムを動かしているのは日々の消費パターンである以上、日々の食事のレベルにおける習慣の変化は非常に重要である。
本稿の目的は、さまざまなジャンルの料理(チリ・ラザニア・カレー・テリヤキ)およびそのレシピのバリエーション(肉・ベジタリアン・ヴィーガン・ホールフードヴィーガン)について、それらがライフサイクルを通じて環境に与える影響を評価することである。33種類の異なる材料で作られた13種類の食事に関してライフサイクルアセスメント* を行って、環境への影響(地球温暖化・淡水の富栄養化・陸域の酸性化・水枯渇の可能性)を推定した。
その結果、料理のジャンルにかかわらず、プラントベースのレシピ(ヴィーガン、ホールフードヴィーガン)による環境負荷は、ベジタリアンおよび肉のレシピに比べて、影響に関する全ての評価項目で大幅に低いことがわかった。ヴィーガンに比べた場合、肉ベースのレシピによる環境負荷は平均で14倍大きく、ベジタリアンでは3倍大きかった。
従って、食事による環境負荷を大幅に減らすことができるのは、動物性の食材(牛肉・チーズ・豚肉・鶏肉など)を、加工していないか、最小限に抑えた植物性の食材(野菜・豆類など)に置き換えた場合である。動物性食品をプラントベース食品に置き換えること、そしてできればプラントベースの食生活に移行することは、気候変動を緩和し、環境の持続可能性を守るうえで重要な契機となる。
* 製品・サービスの製造・生産から廃棄・リサイクルまでのライフサイクルを細分化し、環境負荷を定量的に評価する手法
Berill Takacs, Julia A. Stegemann, Anastasia Z. Kalea, Aiduan Borrion
2022/10/24
Comparison of environmental impacts of individual meals - Does it really make a difference to choose plant-based meals instead of meat-based ones