論文概要
地球環境に可能な限界を逸脱しないためには、世界の食料システムは大きく変化する必要がある。こうした背景から、食肉製品から離れ食生活の転換を促すための政策措置として、食肉製品への課税がしばしば提唱されている。このような税制の設計において国民の選好を理解することは、政策の実現可能性を高めるための出発点となり得る。
本稿では、ヨーロッパで最も畜産業が盛んな国であるオランダの住民を対象として、食肉税の属性に関する選好を調査した。離散選択実験を用いて、税収の使途や課税対象商品の種類、国内のみか多国間で導入するかなど、税の属性を様々に変えた場合について、国民の限界支払い意思額*を推定した。
その結果、税収を一般予算に上乗せするよりも、特定の目的のために利用することが好まれ、野菜と果物の付加価値税を引き下げるために税収を利用することで最も高い支払い意思額が得られることがわかった。これらの結果は、オランダにおける食肉税に関する今後の議論や、他国における食肉税の優遇措置に関するさらなる研究の指針となる。
*製品やサービスに対して消費者が支払っても良いと考える最大の価格
Veerle Siegerink, Joyce Delnoij, Francisco Alpizar
2022/10/13
Public preferences for meat tax attributes in the Netherlands: A discrete choice experiment
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2022/09/15発表