論文概要
背景: プラントベース食は、心血管系疾患のリスクを減少させることが広く認められており、高齢者における慢性疾患の予防と管理に役立つ可能性がある。しかし、プラントベース食に関しては、さらに幅広い研究が必要とされている。高齢者の視点を理解することは、高齢者における食事のパターンを改善するための重要なステップとなる。
目的: 高齢期の高血圧患者を対象として、プラントベース食の摂取に関する認識・知識・意向について調査する
研究デザイン・設定・参加者: 横断研究デザインにより、187名の高齢者をメリーランド州内の複数の地域高齢者センターから募集した。研究について広告するため、参加基準を示した所定のチラシを各地域の高齢者センターに送付した。参加者はスクリーニング調査を受け、参加の条件を満たしていた場合は各施設でインタビューを受けた。
測定可能な結果・分析: 植物由来の食品を増やし、肉・卵・乳製品を減らした食事パターンをプラントベース食として定義した。先行研究で検証された尺度を用いて、プラントベース食について参加者が感じている障壁(10項目)と利点(10項目)、関連する知識(15項目)、プラントベース食を試す意向(3項目)について調査した。さらに、食物の摂取頻度に関する簡単な質問票を使って、プラントベース食についてのスコアを測定した。分析には記述統計とピアソン相関検定を用いた。
結果: 全参加者187人のうち、51.8%にあたる参加者がC6ヶ月以上続けてもよい、または続ける可能性があると回答した。プラントベース食を実践するうえでの障壁に関しては、84.5%の参加者が「プラントベース食についてさらに情報が必要」と回答した。続いて、46%の参加者が「外食時にプラントベース食の選択肢が少ない」、33.8%の参加者が「家族やパートナーがプラントベース食を食べない」と回答していた。プラントベース食の利益に関する認識では、食物線維の摂取量が増加する(89.3%)、健康維持に役立つ(87.2%)、飽和脂肪の摂取量が減少する(85.6%)が上位3位を占めた。プラントベース食についての障壁は、その利益(p=0.001)、知識(p<0.001)、スコア(p=0.001)に対して負の相関があった。
結論: 高齢者のプラントベース食に関する認知度を高めることは、さまざまな障壁を軽減し、利益と知識を向上させるうえで有益であり、結果的にはプラントのベースの食事パターンへの転換につながると考えられる。今回の研究結果は、プラントベース食について、高齢者を対象とした啓発を強化する必要性を示唆している。
Rebecca Rosenstein, Heejung Song
2023/07/08
Understanding Perceptions, Knowledge, and Intention to Follow a Plant-Based Diet in Hypertensive Older Adults