論文概要
規制科学研究は時代とともに変革を遂げてきた。今日、(医薬品などに関する)規制当局による安全性試験は、動物を用いた毒性試験から動物を使わない試験へと移行しており、このような動きは国際的な3R 原則(代替法の利用 replacement, ・数の削減 reduction・苦痛の軽減 refinement)に沿ったものであり、規制当局の捉え方も変化してきた。
3R 原則は多くの国々において、医薬品開発に関する政策や規制、安全性評価のための新たなアプローチに変化を促してきた。3R 原則に基づくこうしたアプローチは、霊長類を含む動物を研究に使用することを最小限に抑え、アニマルウェルフェアを向上させる新しい技術や、人体への影響をより的確に評価できる体外検査法の発見や応用につながっている。
2016年、欧州医薬品庁 European Medicines Agencyは、3R 原則による評価法の採用に関する規制上の原則をガイドラインの中で公表し、続いて2023年には3R 原則に関する最新の基準に合わせたコンセプトペーパーを発表した。さらに、2023年には米国食品医薬品局 Food and Drug Administration (FDA) が新たな法案を通過させ、従来の医薬品開発で義務付けられていた動物実験は、今後は必ずしも全ての製品には求められないことになった。これによって現在の評価法のパラダイムは変わることになる。この総説では、3R 原則の導入について解説し、その実施に関する規制の概要について述べる。
Wen Tsin Poh, Johnson Stanslas
2024/09/20
The new paradigm in animal testing - "3Rs alternatives"