論文概要
背景: EAT-Lancet委員会では、持続可能で健康に良い食事パターンを提案している。しかし、この食事が高齢者の認知機能に与える影響については未だ調査されていない。そこで本研究では、EAT-Lancet食* を遵守することが認知機能の老化とどう関連しているかを検証した。
方法: 過去の介入研究において、地域に在住する65歳以上の成人で認知機能に問題のない者から得られたデータを用いた。EAT-Lancet食の遵守度は、最近の研究で発表された行動指標と食物摂取頻度質問票(190項目)を用いて算出した。全般的な認知機能および(記憶・言語・遂行機能など)領域特異的な認知機能について、調査開始時と2年後の時点で、神経心理学的検査バッテリーを用いて評価した。多変量調整線形回帰を実施し、EAT-Lancet食の遵守度と認知機能(630人)および2年間の変化(302人)との関連を検討した。
結果: EAT-Lancet食の遵守度が高いほど、全般的な認知機能は高く(β per SD = 3.7 points [95% CI]: 0.04 [0.00, 0.08])、認知機能の低下は緩やかであった(β per SD [95% CI]: 0.05 [0.02, 0.08])。領域特異的な認知機能については、横断調査では遵守度と遂行機能において有益な関連があり(P <0 .01)、縦断調査における経時的変化としては、遂行機能(P<0.01)、注意およびワーキングメモリ(P < 0.01)で有益な関連が見られた。EAT-Lancetの遵守度は、情報処理の速さやエピソード記憶における変化とは関連していなかった。
結論: 本研究の結果は、健康な高齢者ではEAT-Lancet食への遵守度が高いほど、全般的な認知機能が高く、経時的にも認知機能の低下が緩やかであることを実証した。今後の研究では、これらの知見を確証し、EAT-Lancet食が高齢者にもたらす潜在的なメリットをより広く評価する必要がある。
*プラネタリーヘルスダイエットとも呼ばれ、果物や野菜など加工度の低い植物性食品の摂取を重視し、魚や肉、乳製品の摂取は控えめにする食事法。スコアでは、14項目の食品成分について摂取レベルの基準に食事内容が準拠しているかを測定する。
Annick P M van Soest, Ondine van de Rest, Renger F Witkamp, Lisette C P G M de Groot
2024/05/15
The association between adherence to the EAT-Lancet diet and cognitive ageing