論文概要
ミールキット宅配の市場は拡大しつつあり、ここで提供される料理がプラントベースへ移行すれば、この産業部門からの温室効果ガス排出量を大幅に削減できる可能性がある。しかし、オンラインで料理を注文する際に、多くの消費者は肉ベースの料理を選んでしまい、他の選択肢としてのプラントベースの料理を考慮することはない。
シナリオを用いたこの調査実験では、消費者669人を対象として、昼食と夕食の間に環境に関するメッセージを参加者に提示した場合に、夕食にプラントベースの料理を選択する人が増加するかどうかを検証した。
その結果、環境メッセージによってプラントベースの夕食を選択する人は有意に増加し、これには2つの経路が関わることがわかった。昼食にプラントベース食を選択した消費者では、メッセージによって環境に配慮する自らのアイデンティティがさらに強化され、それによってプラントベースの夕食がより多く選ばれることになった。昼食に肉ベースの料理を選んだ消費者では、環境メッセージによって認知的不協和が引き起こされ、これによって夕食にはプラントベースの選択肢が選ばれる可能性が高くなっていた。
これらの結果から、環境メッセージは、様々なメカニズムを介して食事の選択に影響を与えることが可能であり、環境的に持続可能な食生活をオンラインのミールキット宅配サービスで推進するうえで、実務家や政策立案者が採り得る費用対効果の高い戦略となる。
Sebastian Isbanner, David Fechner, Sophie Attwood
2025/01/27
Goal-framing theory and sustainable food choices: Leveraging spillover to activate moral goals