混獲を防ぐ対策が、絶滅の危険性が高い海洋生物の漁獲量に及ぼす影響

漁業において危急種*の混獲を減らすことは、海洋生物の多様性を保全し、持続可能な漁業を発展させるうえで極めて重要である。混獲を防ぐために様々な技術を用いた対策が導入されてきたが、全体的な効果はよくわかっていない。ここでは、…

動物性成分を含まない培地を用いた培養鶏肉の連続製造 技術経済性分析による費用対効果は高い

畜産物に対する需要は増大しつつあり、細胞農業の目的はこれを満たすことにある。しかし、現在の生産技術では収量が低いため、経済的な見通しから培養肉の生産を拡大するのは難しい状況にある。 本研究では、タンジェンシャルフローろ過…

テキサス州の農場で行われる子牛の除角処置に対する社会の認識

本研究では、テキサス州の一般市民を対象として、酪農で子牛の角を取り除く際に広く用いられている方法(苛性カリおよび赤熱したコテ)に関する認識を調査した。動物を人道的に扱うことに対する消費者の関心は高まっており、これらの方法…

エシカルな卵 合成生物学は世界の鶏卵生産を破壊できるか?

オスの初生雛(ひよこ)は卵の生産における副産物として命を持って生まれてくるが、鶏卵業界ではこれを殺処分することになっており、商品としての卵の生産はこうした慣行によって成り立っている。研究では、遺伝子導入マーカー遺伝子を利…

採卵鶏のオスのヒヨコの殺処分を止める 代替手段と社会意識の現状

健康的で高品質の畜産物に対する需要が高まる一方で、畜産の過程においてもアニマルウェルフェアと持続可能性に配慮した、より倫理的な方法を用いることに社会的な関心が集まっている。採卵鶏のオスの初生雛を殺処分することは、ケージの…

バーチャルリアリティを活用して牛肉の消費に対する意識に影響を与える: 食事介入における共感性の役割

牛肉をはじめとする赤肉の過剰摂取は、がんや心血管疾患のリスク上昇につながっており、健康に対する懸念は世界的に強まっている。赤肉の消費に伴う健康への影響は、2020年には全世界で2850億米ドルに上り、同年における総医療費…

動物愛護と動物虐待のアピールによって食習慣を変える可能性を探る

現代の西洋社会では、消費者は食肉の元になる動物から切り離されていることが多く、これは動物に対する共感を妨げると同時に、嫌悪感や罪悪感を軽減させることで食肉の消費を促進している。逆に、動物の保護を唱える人々は、食肉の元にな…

水産養殖では野生の魚類を保護できない理由

本稿では、「置き換えのパラドックス displacement paradox」と「ジェヴォンズのパラドックス Jevons paradox」に関する文献をレビューし、水産養殖が野生の魚介類に及ぼす潜在的な影響について考え…

水産養殖のアニマルウェルフェアにおけるリスク細分化

水産養殖はかつてない成長を遂げつつあり、食料安全保障の確保に関する議論もこれを後押ししている。しかし、水産養殖を一枚岩のものとして捉えると、そこには極めて多様な生物種が含まれているのを見落とすことになる。本稿では水生生物…

「母豚には移動の自由がなければならない」 母豚と子豚の分娩舎システムに関する市民の意識

分娩クレートは、授乳中の母豚に使用される世界で最も一般的な分娩舎であるが、動物の移動の自由を奪う飼育システムであるため、社会からは反対されている。 本研究では、ブラジル国民を対象として、3種類の分娩舎システム(クレート・…

食肉産業におけるアニマルウェルフェア 一般市民と生産者における意識の違い

アニマルウェルフェアに対する社会的関心から、この問題に関する基準や法律が必要とされている。畜産動物のウェルフェアに対する考え方は一般市民と生産者では異なることが多いが、生産者が社会からの要請に応えられなければ、その事業は…

ヒト感染症のアウトブレイクにおける農業の関与

本研究では、感染症の伝播に関する時間的・地理的パターンを入手可能なデータから探るとともに、人口動態・人為による土地利用の変化・畜産の拡大・生物多様性の喪失との関連について検討する。過去数十年において、人獣共通感染症や(細…

闘牛に対するポルトガル社会の意識に関する検証

闘牛はこれまで多くの論議を呼んできたが、ポルトガルを含む世界各国で法的には容認されているスポーツ競技である。闘牛が動物に与える痛みや苦しみに対する懸念のために、長年にわたって動物保護団体から注視されてきた。ポルトガルでは…

アニマルウェルフェアの規制はより厳しくあるべきか? 欧州8カ国におけるケーススタディ

アニマルウェルフェアに関する現在の基準から見て、集約的な畜産システムに対する社会の懸念は高まっている。本研究では、欧州における現行のアニマルウェルフェアの規制をより厳しいものにするべきかについて、消費者および市民としての…

精密発酵で生産されたチーズの受容 ドイツ消費者の認識と情報の影響

精密発酵とは、牛を使うことなく乳製品を生産するプロセスのことである。この技術では、より少ない資源から高栄養のタンパク質を生産することができるため、持続可能性のために寄与できると考えられている。消費者の受容に対して情報が及…

バーチャル・スーパーマーケットにおいて、畜産システムに関する情報が食肉製品の購買行動に与える影響

畜産動物のウェルフェアについて議論されることが増えてきた。しかし、動物に配慮した製品は、食肉消費の全体に対してはごく一部にとどまっている。本研究では、バーチャル・スーパーマーケットにおいて、畜産システムについてより詳細な…

豚肉消費者における動物倫理への志向 デンマーク・ドイツ・スウェーデンにおける比較研究

西ヨーロッパでは、1980年代からアニマルウェルフェアに関する各国の法制に加え、欧州連合による法制が組み合わされ、畜産動物の福祉について最低限の要件が保証されてきた。しかし、これらの要件は多くの消費者にとって十分なものと…

動物に配慮した飼育方法で生産された豚肉により高い価格を支払う意思: 消費者意識に関する調査

イタリアでは豚肉の消費量が増加しているが、その一方で、消費者はアニマルウェルフェアと食品の安全との関連性に関してより敏感になっている。アニマルウェルフェアの基準が比較的高くなり、畜産動物のウェルフェアや倫理面の問題に対す…

ブラジルのフレキシタリアン 誰で、何を食べ、なぜなのか?

本研究はブラジルのフレキシタリアンについて初めての科学的調査で、その社会経済的・人口統計学的プロファイル、フレキシタリアニズムを選んだ動機、動物由来の肉を食べる頻度、肉の代わりに摂取している主な代替食品について調べた。こ…

世界における豚のウェルフェアの発展 法制度から市場主導の変化へ

豚のウェルフェアを向上させるうえで法制度は大きな原動力となり得る。本章では、豚のウェルフェアに関して、アジア(中国・ベトナム・フィリピン・日本)、南北アメリカ(米国・ブラジル・カナダ・メキシコ)、欧州連合(EU)において…