昆虫ベースの食品によって食肉消費が大きく減少する可能性は低い

食肉生産に伴う環境負荷は大きく、温室効果ガスの排出量を削減するためには食習慣の転換が必要となっている。昆虫ベースの食品は肉を代替する選択肢の一つとなり得るが、そのためには社会で広く受け入れられ、消費される必要がある。この…

代替肉はモラルの問題か? 英語と日本語におけるツイートの比較

食肉消費の増加は人類の健康や環境、アニマルウェルフェアに悪影響を及ぼしており、大豆ミートをはじめとする代替肉はこれらの問題に対処するための選択肢として注目されつつある。本研究では、こうした代替肉に対する社会的関心がモラル…

家庭の食生活に関連する温室効果ガス排出 英国の食習慣と人口統計学的要因が及ぼす影響

英国の温室効果ガスの排出量は、食習慣を変えることで大幅に削減することが可能である。食生活のガイドラインでは、肉と乳製品の消費を減らし、プラントベース食品を増やすことが推奨されているが、こうしたシフトが可能な家庭ではどのよ…

利用しない子牛の扱いを含め、酪農全般に対するオーストラリア地域社会の見方

社会は食料生産の現実からますます切り離されつつあるが、それにも関わらず、多くの人々は食料の生産方法について強い価値観を抱いている。本研究の目的は、オーストラリアの酪農生産における持続可能性とアニマルウェルフェアに関する人…

ヴィーガニズムとヴィーガンの地理学

10年前、ヴィーガニズムは少数の人々による急進的な運動だった。また、ヴィーガンに関する研究は、社会学や心理学などの学問分野では盛んであったが、地理学の関連領域ではほとんど行われていなかった。しかし、ヴィーガニズムは近年急…

ヴィーガン食の実践における内省 チリ・サンティアゴにおける質的研究

プラントベースの食生活とヴィーガニズムは、地球温暖化と二酸化炭素排出を削減する必要性から、学術領域や社会で広く議論されるようになった。これまでの研究では、こうしたライフスタイルを送るための中心的なものとしてヴィーガンの食…

世界の海洋漁業における労働対価の減少

世界の食糧生産において人間の労働力が占める割合は、過去100年にわたる技術の進歩によって大幅に減少した。陸上における生産高は、こうした進歩によって増加し続けているため、農業従事者が減少しているにも関わらず、増え続ける人口…

肉を食べることは、食用動物の道徳的地位と心を否認することにつながる

人々は肉を好んで食べるが、動物を傷つけることには反対している。この葛藤を解決する方法のひとつとして、動物に対する道徳的関心を引き下げ、動物に苦しむ能力があることを否認することがある。 この可能性を検証するため、参加者に乾…

エシカル・ヴィーガニズムとフリー・ライディング

畜産業は動物に膨大な痛みと苦しみを与えている。エシカル・ヴィーガンの多くは、こうした苦しみを減らすため、我々には動物性食品を控える義務があると主張する。 しかし、この主張には課題がある — すなわち、畜産業の規模や構造が…

動物を食べるのを減らす リデューセタリアニズムの擁護

工場畜産によって生産された動物性食品の消費に反対する従来の道徳的主張は、無条件の定言的なものであり、そこで結論として求められているのは、あらゆる動物性食品を食事から排除すること(ヴィーガニズム)、あらゆる動物の肉を排除す…

どれだけ減らすか? 肉食を減らすアピールの効果を最大化するためのキャリブレーション

肉を多く消費する食習慣は、アニマルウェルフェアや消費者の健康、環境に悪影響を及ぼしている。近年では、どのようなアプローチが肉の消費を減らすうえで最も有効かについて検証が始まっている。中でも特に広く議論されてきたのは、肉の…

子どもは大人よりも動物を大切にする 概念の再現と拡張

動物より人間を重視する態度は、米国の子どもでは成人に比べて弱い傾向にあることが最近の心理学研究で示されている。事前登録された本研究では、この知見を概念的に再現し、さらに拡張することを目的とし(参加者412名)、動物より人…

動物の命に対する価値観は子供と大人で異なる

本研究では、動物への配慮がどのように発達するかを明らかにするため、小児期および成人期において動物に対する道徳的配慮の基底にある特性をモデル化した。6~10歳の子ども241名と成人152名を対象として、さまざまな動物を7つ…

食肉削減のメッセンジャーとしてのフレキシタリアン

食肉消費が気候変動に及ぼす影響については、気候科学者の間でコンセンサスが得られているが、広く一般の人々の食習慣や行動に大きな影響を与えるまでには至っていない。この問題に対する最近の取り組みでは、肉の消費をやめることではな…

食卓の肉が減る 2016-2022年のドイツ社会経済パネルの調査結果

ドイツ社会経済パネル調査 Socio-Economic Panel (SOEP) のデータを用いて、ドイツにおける食肉消費の最近の動向、および肉に関する食習慣に強く影響する社会人口統計学的要因を抽出した。SOEP の調査…

動物の賢さを覚えているほど人間は賢いのか

一部の理論的知見によれば、人々は動物の知的能力を過大評価(擬人化)しているとされるが、これとは反対に、人々は動物に心があることを否定しているとする知見もある。しかし、一般にこれまでの研究では、人々の判断についての客観的な…

セカンドクラス・アニマル ドイツの生物学教科書に見られる畜産動物への体系的差別

人間以外の動物に対する捉え方は、人間が動物をどのように利用するかによって異なる。コンパニオンアニマルは擬人化され、高い道徳的地位を与えられているが、畜産動物にそのような配慮が向けられることはあまりない。このような認識の違…

漁業が引き起こす魚類の退化を回復するための経済モデル

一般に漁業管理は短期的な視点で計画されているが、これは長期的な持続可能性や生物多様性の目標、とりわけ生物の進化のタイムスケールと比べると、非常に短い期間に関するものとなっている。多くの魚類資源が持続可能なレベルを超えて世…

世界の土地利用変化を海藻養殖で軽減する

農業を拡大して食料や資材に対する需要の増大を満たすことは、土地利用の変化を引き起こす重大な要因であり、気候変動と生物多様性の喪失を加速させている。海洋で養殖される海藻バイオマスは、食料や飼料、バイオ燃料を代替・補完するこ…

より公平かつ効果的な炭素税

人々の現在の消費行動は、技術の現状を考慮すれば、地球温暖化を2℃未満に抑えるという目標とは相容れない。カーボンプライシング(炭素価格)*は、人々に消費行動の調整を促すための最も効率的な手段として、経済学者によって提唱され…