寄付Donate
他者に人間的な性質があることが認識されると(人間化)、その他者に対する扱いは一般に好意的なものになる。最近の研究では、動物や地球など、人間以外の存在もまた人間的な性質を持つとみなされると(擬人化)、恩恵を受けることがわか…
畜産の必要性に関するこれまでの議論では、畜産は増加する人口に対して食料を供給するために必要であること、畜産がなければ食料システムから失われてしまう土地やバイオマスを効率的に利用できること、畜産によって作物栽培に必要な肥料…
人間は、一部の動物(犬など)の幸せのために心を砕く一方で、豚などの他の動物への虐待は黙認している。ある動物に対してどのような扱いが道徳的に妥当とされるかは、その動物が 「食物 」であるかどうかによって決まる。このように動…
本稿の論点は、牛肉の生産・消費がもたらす悪影響を考慮すると、多くの高所得の国々では、個人のレベルで全般的に牛肉消費を制限し、代わりに植物性タンパク質を摂取する道徳的な理由があるということである。牛肉の生産は、農業による温…
畜産において動物がどれほど苦しんでいるかという認識は、近年において高まりつつある。しかし、犠牲となっているのは動物たちだけなのだろうか? 米国で年間に何億頭もの動物に由来する製品や動物の体の一部を販売するためには、誰かが…
人々は当然のこととしてヒトが他の動物よりも道徳的に優位にあるものと考えている。道徳的判断におけるこのような人間中心主義は、ヒトと動物との間に認められる知的能力の差に基づくものなのだろうか、あるいは単にヒトが自分と同じ生物…
ある社会集団に対して偏見を持つ人は、他の社会集団に対しても偏見を持つ傾向がある。すなわち、こうした偏見は一般化する傾向がある。特定の人々に対する軽蔑や搾取(人種差別・性差別・その他の偏見など)と、ヒト以外の動物の扱い(し…
動物たちと我々の関係は、彼らの感覚や苦痛を感じる能力を我々がどう見るかによって変わってくる。しかし、動物の心に関する人々の信念が概ね正しいものなのかどうかについて、見解の一致はほとんど得られていない。 本研究で開発した新…
人間を動物よりも道徳的に優先する傾向は、大人よりも子どもの方が弱いのだろうか? 事前登録された2つの研究において、人間を犬や豚と比較し、どちらの命を救うべきかという道徳的ジレンマを提示し、5歳から9歳の子供と大人(合計6…
畜産動物の福祉に対する社会的関心は高まっており、アニマルウェルフェアは製品の品質に付帯する倫理的属性と見なすことができる。本稿では選択実験を用いて、豚肉製品のアニマルウェルフェア属性に対する中国の消費者の支払い意思*を測…
肉食を拒む人々(ベジタリアン・ヴィーガン)は、肉を食べる人々を暗黙裡に批判し、道徳的な意味で脅かしていると感じられるため、肉を食べる人々からしばしば軽蔑の目で見られる。このような「慈善家への軽蔑 do-gooder de…
アニマルウェルフェアや肉食に関連する健康・環境問題への懸念にもかかわらず、肉の消費量はオーストラリアを含め、世界中で増加し続けてきた。ドイツはその例外の1つで、2021年における食肉消費量は過去30年間で最低であった。 …
これまでの実証的研究によれば、肉食に対する態度や実際の肉食行動には性差があることがわかっている。いくつかの研究ではさらに、(心理学における)ダークトライアドを構成する3つのパーソナリティ特性(マキャベリズム・ナルシシズム…
動物に由来する製品を使った食生活は、人間の健康や環境、アニマルウェルフェアに及ぼす影響の大きさから、欧米諸国においては持続不可能なものと見なされるようになってきている。よりプラントベースの食生活への移行を促進することは、…
これまでの研究によれば、魚類には恐怖・痛み・喜びなど、いくつかの情動を経験する神経生理学的および行動学的メカニズムが備わっていることが報告されている。このことは、当事者の主観的な感覚を根拠とするウェルフェアを考えるうえで…
哲学者らの議論によれば、我々の動物に対する態度(「種差別」)は規範的な価値観によって他の様々な偏見と繋がっているとされる。心理学研究ではまた、種差別の基底には他の偏見におけるのと同様の心理過程や動機が働いていることが示唆…
環境保護をめぐる議論では、環境倫理における人間中心主義的な立場と環境生物中心主義的な立場からの主張が衝突している。野生生物の保護を主張する立場からは、人間中心主義は生態系危機の主因であるとして批判されているが、心理学的構…
本稿では、哲学的概念である「種差別」―種に属するか否かによって異なる道徳的価値を付与すること―を心理学的構成概念として導入し、検討する。ネット上の一般人口集団および大学生をサンプルとして用いた5つの研究において、種差別は…
政治的に右派の人々は、左派の人々に比べて、肉の消費と動物の搾取により大きく関わっている。先行研究によれば、これは彼らが菜食主義を国の食習慣や経済を脅かすものと見なしているからだという。2つの研究を通して、この「菜食主義の…
地球と人類の健康は、欧米人が肉の消費を減らすことができるかどうかにかかっている。食肉生産は環境を悪化させ、食肉の過剰な摂取はガンや心血管疾患などとも関連しているが、消費者が食生活を変えるためは、説得力のある理由と動機が必…