人間を動物の上におくこと – 肉食行動における性差とダークトライアド

これまでの実証的研究によれば、肉食に対する態度や実際の肉食行動には性差があることがわかっている。いくつかの研究ではさらに、(心理学における)ダークトライアドを構成する3つのパーソナリティ特性(マキャベリズム・ナルシシズム…

ドイツにおいて食肉課税への国民の支持を決定する要因ーアニマルウェルフェアは気候変動緩和よりも強い

食肉に対する課税は、食肉生産に関連する気候への影響やアニマルウェルフェアの問題への取り組みに役立つ可能性がある。本研究では、ドイツ市民2,800人以上を対象とした国民投票を模した選択実験において、食肉への課税に対する有権…

種差別と汎化する偏見、偏見を抱く人々に対する認識

哲学者らの議論によれば、我々の動物に対する態度(「種差別」)は規範的な価値観によって他の様々な偏見と繋がっているとされる。心理学研究ではまた、種差別の基底には他の偏見におけるのと同様の心理過程や動機が働いていることが示唆…

動物たちの道徳的地位: 種差別の心理学に向けて

本稿では、哲学的概念である「種差別」―種に属するか否かによって異なる道徳的価値を付与すること―を心理学的構成概念として導入し、検討する。ネット上の一般人口集団および大学生をサンプルとして用いた5つの研究において、種差別は…

政治家たちはなぜ肉の話をしないのか? 人間と動物の関係、選挙における政治心理学

政治学と心理学の文献に基づいて、本稿では動物に関する政治的関心や、動物への配慮を訴える立候補者が有権者の反発を引き起こすという問題について議論する。これを検証するため、一般的な米国市民の参加者からなる大規模サンプルを用い…

動物の苦しみに対する消費者の意識

地球と人類の健康は、欧米人が肉の消費を減らすことができるかどうかにかかっている。食肉生産は環境を悪化させ、食肉の過剰な摂取はガンや心血管疾患などとも関連しているが、消費者が食生活を変えるためは、説得力のある理由と動機が必…

畜産動物を中心とした視点から見たアニマルウェルフェア

このレビューの目的は、高い生産性を得るために畜産動物の身体に人工的に導入された解剖学的・生理学的変化など、動物の視点からはほとんど取り上げられることのない福祉の諸側面について啓発することである。このため本稿では、生産性の…

乳牛の福祉における農業システムの影響:Welfare Quality® プロトコルによる有機農場と従来型農場の比較

畜産におけるアニマルウェルフェアは消費者にとって大きな関心のある問題である。有機農場のアプローチでは、(疾病や傷害に対する)予防措置においてアニマルウェルフェアを確保することを目指しているが、有機農場と従来型の農場におけ…

アルゼンチン・チリ・コロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビアの消費者における、畜産動物のアニマルウェルフェアに対する意識

畜産動物のアニマルウェルフェア(farm animal welfare, FAW)に対する消費者の態度は一面的な現象ではなく、民族性・農産物文化・倫理観、購買力・信条に関わるさまざまな考え方や社会的な側面を伴っている。そ…

非・種差別的な話し方で動物への道徳的コミットメントが伝わると、善意の人に対する軽蔑感(Do-gooder derogation)が誘発される

人間以外の動物を「何か」ではなく「誰か」と呼ぶなど、非・種差別的な言葉を使うことは、動物に道徳的な地位を認める簡単な方法である。しかし、このような言い方がどう受け止められるのか、また、これがこうした善意に対する軽蔑感とど…

牛乳瓶からアニマルウェルフェアの未来をのぞく:中国の大学生からの洞察

大学生の消費パターンは、市場の動向に大きな影響を与える力を持っている。本研究では、学生の購買の選択においてアニマルウェルフェアの重要性が高まっていることについて、乳製品を取り上げて検証する。 離散選択実験において、アニマ…

中国における畜産動物のアニマルウェルフェア研究への関心

中国で行われた畜産動物の福祉に関する研究は、中国国外ではアクセスされることは少なく、知られていない。このため、中国においては畜産動物の福祉はあまり注目されていないと推定される可能性がある。本研究では、このような見方に対し…

動物の法的権利について一般市民の認識を探る

人間以外の動物の法的地位のあり方に関して、法学者・哲学者・動物科学者・社会科学者・人道主義活動家らによって活発な議論が行われてきた。しかし、動物の権利のために提案された枠組みについて、その利点や欠点をどう考えるのかなど、…

単なるデータじゃない―生物学的モニタリングで虐待される淡水無脊椎動物

本稿で取り上げて議論するのは、生物学的モニタリング法で淡水環境の生態学的状態を評価する際に、自由に生活する無脊椎動物を使うことの問題点である。無脊椎動物は、環境保護の手続きにおいて倫理的な配慮から除外されており、その結果…

動物虐待への「コメント」:オーストラリアの動物法執行に関するソーシャルメディア言説の内容分析

オーストラリアでは、アニマルウェルフェアに関する法整備は「社会の期待」に影響されている。動物愛護法に関する一般に入手可能な情報源は主にメディア記事であることを考えると、オンライン上で議論される情報が世論に影響を与え、結果…

商業グレイハウンド・レースに対するニュージーランド社会の認識

ニュージーランドには、大型犬のイングリッシュ・グレイハウンドを競争させる商業ドッグレースがあり、10年以上前からアニマルウェルフェアへの取り組みに関して精査を受けてきた。2021年、グレイハウンド・レース業界は、データの…

食品ロスと廃棄物にふくまれる動物たちの命

食肉のロスや廃棄を減らすことの重要性は、その環境への影響の大きさのために認識されているが、アニマルウェルフェアの側面について取り上げられることはほとんどない。食べられることのない食品を生産するために動物たちに加えられる苦…

豚のアニマルウェルフェアの測定、その意味を深く掘り下げる

歴史的に、よく育つ動物は良好な幸福な状態にあると信じられてきた。実証データによれば、豚は健全な成長に必要な身体上のニーズだけでなく、遊びや複雑なパズル解きなど、生活上の豊かさ(環境エンリッチメント)を求めることがわかって…

動物実験への支持におけるジェンダー・ギャップ:共感と種差別による媒介

動物実験に対する支持には大きな性差があり、男性の方が女性よりも動物実験を支持している。しかし、こうした違いに関連する心理的要因についてはほとんど知られていない。我々は、男女のバランスがとれた大規模サンプル(女551名・男…

「ペットはアンバサダー」仮説を支持:オーストラリア男性の動物への共感性、ペット・オーナーでは非オーナーや農業従事者より高い

人間以外の動物に対する人間の共感(Animal Empathy; AE)には強い性差があり、そのレベルは女性の方が男性よりも高い。本研究の目的は、男性のみを対象としたサンプルにおいて、動物に触れた経験がAEに及ぼす影響を…