論文概要
これまでの研究では、男性が女性よりも肉を多く食べることが示されている。本研究では、食肉消費の意図や行動に関して、人々が考える自分自身の男らしさ・女らしさからどの程度までその違いを説明できるかを探る。
オーストラリア人の男女4,897名の大規模サンプルを対象としたオンライン調査では、肉を食べることと控えることについて参加者の態度と意図を調べるとともに、自己評価によるジェンダーの典型性(男性が自らを男らしいと考え、女性が自らを女らしいと考える程度)を測定した。調整変数による重回帰分析を用いて、自己評価によるジェンダー典型性を、ジェンダーと食肉に関連する変数の関係に対する調整因子として検証した。
その結果、男性では、自分が男らしいと自認しているほど、肉の消費を減らしたり菜食主義を考えたりする傾向は弱くなり、肉を食べることが普通であると考える傾向が強くなっていた。また、男性、さらに(男女にかかわらず)自己評価でのジェンダー典型性が高い人は、肉がより自然で、必要で、美味しいと考えていた。
これらの結果は、食肉消費における性差を理解する上では、自己評価によるジェンダーの典型性が重要であることを示唆している。オーストラリアの食生活がジェンダーやアイデンティティと強く結びついていることを考慮すれば、食生活から肉を減らす、あるいは肉を使わないことを訴えるうえでより大きな効果が得られる可能性がある。食肉消費の削減を推進するためには、これまでとは違う男らしさに対する社会的な受容を高め、プラントベース食品の広告を男らしさに合わせて展開することが有用であると考えられる。
Samantha K. Stanley, Cameron Day, Patricia M. Brown
2023/02/03
Masculinity Matters for Meat Consumption: An Examination of Self-Rated Gender Typicality, Meat Consumption, and Veg*nism in Australian Men and Women