論文概要
EAT-Lancet委員会によって提案されたプラネタリーヘルスダイエット* は、地球環境の限界内における人類の健康増進を目標としているが、この食事法を遵守することと認知機能の変化との関連はほとんどわかっていない。本研究では、ブラジル成人健康縦断研究 Brazilian Longitudinal Study of Adult Healthから3つの人口データを用いて、プラネタリーヘルスダイエットと認知機能低下との関連について、線形混合効果モデルを用いて検証した。
その結果、参加者11,737人(平均年齢(標準偏差)51.6(9.0)歳・女性54%・白人53%)のうち、プラネタリーヘルスダイエットの遵守度が高い人ほど、記憶力が低下しにくいことがわかった(P = 0.046)。この関連は所得額の高低によって影響されており(P < 0.001)、高所得者では、遵守度が高いほど記憶力(P = 0.040)および全般的な認知機能(P = 0.009)の低下が緩やかである一方、低所得者ではこのような関連は見られなかった。
本研究の結果からは、健康的な食パターンの推進において遵守度を向上させるためには、食習慣の違いだけでなく、所得が障壁となる可能性について考慮する必要がある。
*EAT-Lancet基準食とも呼ばれ、果物や野菜など加工度の低い植物性食品の摂取を重視し、魚や肉、乳製品の摂取は控えめにする食事法。
Natalia Gomes Gonçalves, Leandro Teixeira Cacau, Naomi Vidal Ferreira, Paulo Andrade Lotufo, Alessandra Carvalho Goulart, Maria Carmen Viana, Sandhi Maria Barreto, Isabela Martins Bensenor, Dirce Maria Marchioni, Claudia Kimie Suemoto
2024/06/28
Adherence to the planetary health diet and cognitive decline: findings from the ELSA-Brasil study