論文概要
不健康な食事パターンは、非伝染性疾患・栄養不足・気候変動を含む世界的なシンデミック* と直結しており、より健康的で持続可能なプラントベースの食生活へ移行することが不可欠となっている。しかし、プラントベースの食事には、肉や動物性食品を完全に排除するヴィーガン食から、地中海式ダイエットや新しい北欧式ダイエットなどの伝統的なスタイルまで、さまざまに異なっている。
プラントベースの食事は、人々の健康を増進するとともに、食糧システムが環境に及ぼす影響の軽減にも有効であることがわかっている。コホート調査やランダム化比較試験から得られたエビデンスからは、プラントベースの食事パターンは、体重のコントロール、心血管系の健康、糖尿病の予防・治療に有益であることが示されている。ただし、プラントベース食が適切に計画されていない場合は、微量栄養素の必要量が満たされない可能性がある。
さらに、肉や動物性食品の消費が少なければ、環境への影響も少ないという研究結果もある。従って、プラントベースの食生活は、食の持続可能性を高めるうえでカギとして重要な要素となり得る。このナラティブ・レビューでは、プラントベースの食生活を遵守することによって人類と地球の健康にもたらされる利点について述べ、文化的な受容可能性や経済的な要因など、食生活におけるこうした移行を達成するための負担や障壁について考察する。最後に、現行の食品単位で記述された食事ガイドラインをアップデートする問題について取り上げつつ、選択可能な介入手段と政策立案にむけた提言について説明する。
* 同じ地域や社会において、複数の疫病などが同時集中的に発生し、相互に影響を及ぼし合って健康への悪影響や感染予防の困難さを増大させている状況
Giulia Viroli, Aliki Kalmpourtzidou, Hellas Cena
2023/11/08
Exploring Benefits and Barriers of Plant-Based Diets: Health, Environmental Impact, Food Accessibility and Acceptability