論文概要
人々をプラントベースの食生活に移行させることは、環境問題や公衆衛生における目標達成に不可欠である。コロナ感染症(COVID-19)による危機は重大なものであるため、ニュース記事やさまざまな組織による声明ではこれを引用して畜産とパンデミックのリスクとの関連や、その他の公衆衛生上の脅威との広汎な関連が強調されることが多くなっている。しかし、食生活の変化を促すうえでこうしたメッセージ戦略にどの程度の有効性があるかについてはほとんどわかっていない。
本研究ではオンライン標本による無作為化試験を実施し、以下の2種類のメッセージが及ぼす効果について検討した: 1.コロナ感染症パンデミックの重大性を引用して、工場畜産から感染症が広がるリスクを強調するメッセージ、2.コロナ感染症パンデミックの重大性を引用して、工場畜産がもたらす労働者の健康への脅威を強調するメッセージ。
これらのメッセージに関して、プラントベースの食生活に関する考え方や、プラントベースの食生活に向けて行動意図を改めるうえで効果があるかどうかを検証した。比較に用いた従来的な内容のメッセージでは、工場畜産で生産された食肉の消費によって、環境や個人の健康、アニマルウェルフェアに悪影響があることを強調した。
その結果、これらのメッセージは、食肉消費がもたらす様々な弊害についての考え方に影響を与えるが、それぞれに異なった形で影響していることがわかった。しかし、消費者の意識におけるこうした変化は、食肉の消費を減らし、プラントベースの代替食品を選ぶという意思の変化を促すものではなかった。これはおそらく、行動変容を阻む他の多くの障壁によるもので、定性的調査への回答で特定されたように、コスト・味覚・社会的要因などが考えられる。
その一方で、食肉消費を減らすことで得られる個人の健康上のメリットを強調した場合、メッセージの発信者に対する人々の信頼を高めるうえでより効果があることがわかった。本研究の結果からは、メッセージの中では個人の健康上のメリットを強調しつつ、行動変容を阻む既知のさまざまな障壁に対処することが極めて重要であり、信頼を構築し、人々をプラントベースの食生活に移行させることにつながると考えられる。
Rebecca Niemiec, Megan S Jones, Andrew Mertens, Courtney Dillard
2021/10/01
The effectiveness of COVID-related message framing on public beliefs and behaviors related to plant-based diets