論文概要
欧米諸国がよりプラントベースの食生活へと転換することは、人々と地球の健康を守るために有効である。こうした転換を達成するうえで、学校給食は公共政策における重要なターゲットとなる。学校給食でベジタリアン食を提供する頻度を増やすことは、栄養の質を保ちつつ、温室効果ガスの排出を削減できる施策の1つとして提案されてきた。しかし、その場合に子どもたちがベジタリアン食を受け入れるかどうかは、食品廃棄の増加や栄養格差の拡大といった予期せぬ結果を防ぐために極めて重要となる。
本研究では、学校給食におけるベジタリアンと非ベジタリアンの主菜に対する子どもたちの嗜好を調査し、それが社会経済状況によって異なるかを検証した。フランスの地方都市(ディジョン)の中で、社会的に異なった地区にある小学校38校のすべての食堂に、5段階のスマイリースケールを表示する接続型の採点装置を設置し、毎日の給食の後で子どもたちに食べたばかりの主菜を評価するように求めた。2021年9月から2022年6月までの1学校年間で、(肉や魚を使わない)ベジタリアン料理32品と非ベジタリアン料理93品を含む125品の主菜について208,985票を集め、38校の食堂で1日あたり平均1,672票(SD 440票)となった。
子どもたちの好みには、ベジタリアン料理と非ベジタリアン料理で差は見られなかった。さらに、各学校の社会経済状況は、ベジタリアンの主菜に対する子どもたちの嗜好と負の交互作用があり、社会経済水準の低い地区の学校では、ベジタリアンのメインディッシュがより好まれる傾向があった。このフランスの都市では、従って、子どもたちが受け入れるかどうかは、学校給食にベジタリアン食の頻度を増やすうえでの障壁とはならず、食事に関する社会的不平等を拡大させることはないと考えられる。
Lucile Marty, Justine Dahmani, Sophie Nicklaus
2024/09/01
Children's liking for vegetarian and non-vegetarian school meals at the scale of a French city