論文概要
このフィールド研究では、一定の状況において消費者がこれまで採ってきた意思決定のパターンが、食肉の消費削減を促すナッジ*介入の効果に影響するかどうかを検証した。デンマークのある病院では、病院の職員だけでなく病院を訪れた人々も院内の食堂を利用するが、このような状況でベジタリアンのサンドイッチを販売するに際して、2種類のナッジ(シェフのおすすめを示すステッカー・目につきやすい位置におく)を組み合わせた。
このサンドイッチの売上高は、ベースライン期間では16.45%であったが、ナッジによる介入期間には25.16%まで増加した。このような増加が訪問客に起因していたことは最も重要であり、これらの人々では食事について院内食堂という場所に結び付いた好みがあまりなかった。病院の職員は、この場所に結び付いた好みがはっきりしており、食事の選択においてナッジの影響を受けなかった。これら2つの消費者グループでは、肉に対する個人的な嗜好においては差がなかったことから、これは重要な結果である。
行動における変化は場所に結び付いた選好によって最も影響されるが、行動そのものは個人レベルの選好によって最も影響されると思われる。これらの結果は、ナッジによる介入で行動変容を促す可能性が十分にあるのか、あるいはより明示的な政策が必要なのかを推定するうえで有用である。
* 行動科学の手法で、経済的なインセンティブや明示的な行動の強制なしに、無意識に働きかけて行動変容を促す
Venema, T. A. G., & Jensen, N. H.
2023/02/25
We meat again: a field study on the moderating role of location-specific consumer preferences in nudging vegetarian options