論文概要
背景: カロリー密度の低い食品を手軽に入手できるようにすることは、より健康的な食品の購入を促すうえで有望な介入方法である。しかし、より持続可能性の高い食品の購入を推進するために、肉を使わない(ミートフリー)食事を購入しやすくすることが有効なのかどうかについてはほとんど調べられていない。ここで報告する3つの研究では、メニューの中で肉なしの食事の選択肢の割合を変化させた場合に選択に起こる影響を調べた。
方法: 研究1(大学のカフェテリアにおけるフィールド実験)において、ミートフリー食の割合(肉なしと肉ありの割合として1:2から2:1まで)を変えた場合に、肉を含む食事の週間売上に与える影響を調べた。研究2(職場のカフェテリア18か所におけるフィールド実験)では、ミートフリー食の選択肢を増やすようにメニューを変更した場合に、ミートフリー食の売上に与える影響を調査した。研究3(英国の成人2205人を対象としたオンライン研究)では、参加者を3種類のメニュー(肉なしと肉ありの割合として、1:2、2:2、2:1)に無作為に割り当て、食事の選択を比較した。
結果: 研究1では、ミートフリーの選択肢が増えた場合、肉を含む食事の売上が有意に減少した(-19.9%)。一方、同時期において学内の他のカフェテリアでは肉を含む食事の売上に変化はなかった。研究2においては一貫した結果は得られず、マルチレベル回帰分析ではメニュー変更後にミートフリー食の売上に増加は見られなかったものの、中断時系列分析では、売上は増加していた(2.3%)。しかし、当初の計画通りにメニューの変更を実施できた施設は限られていた。研究3では、メニューにおけるミートフリー食の選択肢の割合を50%から25%に減らすと、ミートフリー食に対する参加者の選択は減少したが(オッズ比0.35)、ミートフリー食の割合を50%から75%に増やすと、ミートフリー食への選択は増加した(オッズ比2.43)。参加者の性別や社会経済的な状況、普段の肉摂取量による影響を示す所見は得られなかった。
結論: ミートフリー食の選択肢を増やすことは、メニューにおける割合がある程度異なっているとしても、肉を含む食事の選択・購入を削減するうえで有効である。その効果の大きさについては不確かではあるが、直接の検証においては(性別や社会経済的な状況など)人口統計学的な要因による違いは見られなかった。
Rachel Pechey, Paul Bateman, Brian Cook & Susan A. Jebb
2022/01/31
Impact of increasing the relative availability of meat-free options on food selection: two natural field experiments and an online randomised trial