論文概要
消費者が持続可能で倫理的な食品生産のあり方を意識し、関心を持つにつれて、食品を消費するパターンは変化している。畜産業と社会との断絶は拡大しつつあり、消費者の購買行動の背後にある動機を検証する研究はますます重要となっている。しかし、消費者側の潜在的な心理要因やさまざまに異なる農業への懸念が、個々の食品を購入する意思とどう繋がっているかについての実証的知見はいまだ乏しい。
大規模な調査データと高度な構造方程式モデリングを用いて、潜在的な基本的価値観*1および計測された消費者特性*2が、(動物に配慮し、オーガニック・非ホルモン添加と認証された)食肉製品に関する個人の考え方や購入の意思に対して直接的・間接的に及ぼす効果を推定した。
その結果、自己超越性や変化への寛容さといった人間的価値観によって、畜産動物の福祉への関心や認証された食肉製品への選択が促されることが示された。ソーシャルメディアにおける情報や関与は、畜産動物の福祉に対する個人の認識・関心に対してプラスの影響を与えていた。利他主義および反人間中心主義を規範とする個人は、持続可能で倫理的な食品の購入をより強く志向していると考えられる。
*1 本研究では、利他主義と反人間中心主義に対する参加者の捉え方が含まれる *2 参加者の年齢・性別・宗教・居住地・政治的党派(リベラル・保守)・食品の購買頻度などが関心対象の要因として含まれる。
Sven Anders, Marina Malzoni, Henry An
2024/11/28
Altruism and anti-anthropocentrism shape individual choice intentions for pro-environmental and ethical meat credence attributes