論文概要
子どもの食の好みは、家庭における食事の内容に大きく影響する。しかし、子どもたちがプラントベース食品をどのように見ているかについてはほとんど知られていない。本研究では、肉や乳製品に代わるプラントベース食品について、9歳から11歳の子どもたちがどのように認識しているかを明らかにするため、肉や魚の代替食品(豆類・ナッツ類など、食材としての特徴が類似し、栄養プロファイルもある程度似ているもの)、置き換え食品(豆腐・テンペなど、栄養プロファイルが類似し、食材としての特徴もある程度似ているもの)、食材としての特徴も栄養プロファイルも類似した疑似食品、および乳製品の代替品について調査した。料理の構成による影響を考慮し、実際の食事の中でこれらのプラントベース食品を提供した。
本研究では子どもたちの認識を探るため、(ユーザーの生活や行動、感情を自然な状態で見る)カルチュラル・プローブ、インタビュー、調理セッションなど、異なる質的研究の方法を組み合わせて実施した。最初に子どもたちに配布したルチュラル・プローブのパッケージには、(フレンドシップ・ブックに記入する、プラントベース食品のレシピを考えるなど)創造性に必要とする課題が含まれていた。続いて実施した1対1のインタビューでは子どもたちに、これらの課題から得た経験について自分の言葉で詳しく説明することを求めた。最後に、子どもたちは小グループに分かれ、プラントベースの代替食品を使ってピザを作った。
その結果、食品の味は、良くも悪くも最も頻繁に言及されるトピックであることがわかった。当初、子供たちの期待は疑似食品に対して概して肯定的であったのに対し、代替食品や置換食品に対してはより否定的であった。しかし、実際の調理セッションで感じた味としては、疑似食品・代替食品・置き換え食品の間で大きな差は見られなかった。このことは、プラントベース代替食品に対する認識を研究するうえでは現実の食事の状況における検証が重要であり、こうした状況において代替食品や置換食品が、疑似食品と同様に食事に欠かせない要素となりうることを示している。
先行研究では、子どもたちがプラントベース代替食品を選択する際には、アニマルウェルフェアが重要な動機となることが示されている。しかし、本研究の結果からは、アニマルウェルフェアが関連しているのはプラントベースの疑似肉製品のみであることが明らかになった。従って、アニマルウェルフェアを代替食品や置き換え食品と明確に関連付けることにより、子どもたちとその家庭を植物性志向の食事へ導き、野菜・豆類・穀物などのプラントベース食材をより多く用いる方向へと変化を促せる可能性がある。
Lotte Pater, Elizabeth H Zandstra, Vincenzo Fogliano, Bea L P A Steenbekkers
2024/11/07
Create the future of food with children: Qualitative insights into children's perception of plant-based meat, fish, and dairy alternatives