論文概要
背景: より持続可能な食糧システムを実現するためには、プラントベース食品の摂取を増やし、赤身肉や高度加工食品の消費を減らすなど、食生活の変革が不可欠である。食行動に関する世論に対してメディア報道が及ぼす影響は大きい。そこで本研究では、オーストラリアのニュースメディアにおいて、持続可能またはプラントベースの食生活がどのように描かれてきたかを探ることを目的とした。
方法: Factiva グローバルニュース・データベースを用いて、オーストラリアで2018年から2020年に発表されたニュース記事を検索し、持続可能な食事・プラントベースの食事・代替肉に関連するキーワードが含まれていた場合、関連のあるニュース記事として選択した。記事の発表日やトピック、健康や環境、経済への影響など、主要な情報の抽出にはコーディングプロトコルを使用し、得られたデータについてフレーム分析および主題分析を行った。
結果: 対象となった357件の記事のうち、半数以上の記事ではプラントベース食品の摂取を増やし(53.5%)、動物性食品の摂取を減らすことが推奨されていた(55.2%)。これらの記事からは、動物性タンパク質が中心となっているオーストラリアの食生活から転換するいくつかの理由が特定され、その中には健康上の利点(15.4%)、環境への影響(11.2%)、アニマルウェルフェア(4.8%)、季節の食材や地場産品の消費(5.3%)、食べすぎを避ける(4.5%)、食品の浪費(4.5%)などが見られた。
結論: 持続可能な食生活に関するオーストラリアのニュース報では、プラントベース食品の消費を増やし、動物性食品の消費を減らすことに関するものが主流であり、食事の質と環境が複雑に作用しあって食品の選択に影響していることはほとんど触れられていない。オーストラリアのニュースメディアは、持続可能な食生活に関する報道内容の幅を広げる必要があり、健康・環境・経済の要素を含めることで、国民の理解を深め、十分な情報に基づいた持続可能な食の選択を促すことができる。今後の調査研究では、このトピックに関するメディアの報道を視聴者がどのように受け止めているかについてさらに理解を深める必要がある。
Rimante Ronto, Carla Vanessa Alves Lopes, Diana Bogueva, Barbara Davis, Alexandra J Bhatti, Priscilla Navarrete, Josephine Y Chau
2024/03/28
Exploring Australian News Media Portrayals of Sustainable and Plant-Based Diets