論文概要
微細藻類を食事に取り入れることで、栄養と持続可能性の両面でメリットが得られる可能性がある。本研究ではシンガポールの成人578人を対象として、微細藻類ベースの食品に対する受容性について調査した。「微細藻類ベースの食品」から最も頻繁に連想された用語は、「ベジタリアン食品」と「代替肉 」であった。肉の消費量を減らすことを目指している人々が連想した内容は、雑食の人々に比べて肯定的な意味を持っていた。微細藻類・ビーフバーガー・チキン・豆腐・プラントベースバーガー・海藻・昆虫に対する参加者の認識を比較した。微細藻類とプラントベースバーガーに対する認識は類似していた(ビーフバーガーやチキンに比べて非常に現代的・環境に優しいなど)。豆腐と海藻に対する評価は、食品として最も美味しく、安く健康的で、また最も華やか、自然であり、環境に優しいというものだった。
参加者は、微細藻類ベース食品を購入する場合に、その属性に関してどれくらい満足できるかを評価した。これらの属性は、最も満足できるレベルから低いレベルへと、以下のように評価された: 「革新的」・「環境にやさしい」・「健康的」・「栄養価が高い」・「高タンパク」。
微細藻類を利用した食品のうち、肉・魚の代替品(ソーセージやフィッシュボール)および非代替品(麺類やパン)について、これらの製品を購入する意欲と正の相関を示した要因は、若年であること・男性であること・高所得であること・持続可能性への関心・健康への関心・新しい食品に嫌悪感がないこと・食生活で肉類を減らしていること・食事スタイルが社会的イメージ形成の動機になっていることであった。
調査結果からは、食品の区分としてみた場合、微細藻類をベースとした肉・魚の代替食品は消費者の期待に応えているようである。今後の開発においては、製品の味に重点を置く必要があるが、同時に持続可能で革新的な食品としてフレーミングすることも必要である。微細藻類は健康的であると認識されていることが、微細藻類に対する消費者の受容に影響していると考えられる。
Bianca Wassmann, Christina Hartmann, Michael Siegrist
2023/12/05
Novel microalgae-based foods: What influences Singaporean consumers’ acceptance?