論文概要
持続可能な方法によって健康的かつ十分な栄養を提供することは、世界の食糧システムが直面する課題であり、気候変動と世界人口の増加によるタンパク質需要の増加のために深刻になりつつある。新規食品*の生産技術における最近の進歩は、食糧システムの持続可能性を向上させるための解決策となる可能性がある。
しかし、食生活のレベルで効果を比較した研究は乏しく、新規食品を食生活に取り入れた場合に環境に与える影響を知るためにはこうした比較検証が必要となっている。ここでは、ヨーロッパの食生活において、動物性食品を新規食品または植物性食品に置き換えることで削減できる地球温暖化係数・水使用量・土地使用量を推定する。線形計画法を用いて、雑食・ヴィーガン・新規食品の食生活について、十分な栄養があり、かつ実行可能な消費パターンであるという制約の下で、環境への影響が最小になるように食生活モデルを最適化した。
現在の食生活における動物性食品を新規食品に置き換えた場合、環境に与える影響の全てを80%以上削減し、同時に栄養面および消費の実行可能性に関する制約を満たすことができた。
* 欧州連合(EU)において、1997年5月15日以前にEU域内で相当量消費されていなかった食品または食品原料
Rachel Mazac, Jelena Meinilä, Liisa Korkalo, Natasha Järviö, Mika Jalava & Hanna L. Tuomisto
2022/04/25
Incorporation of novel foods in European diets can reduce global warming potential, water use and land use by over 80%