論文概要
フレキシタリアンの食事スタイルは、人類の健康や温室効果ガスの排出削減のために有効であるとして注目されている。しかし、重要な問題として、現在のように持続不可能な食糧システムに必要な変化を起こすうえでフレキシタリアン層が大きく寄与するのだろうかという疑問がある。
本研究ではこの問題に取り組むため、伝統的に人々が多くの肉を食べる習慣のある国において、若年成人1023名の食習慣を調査した。このうちフレキシタリアンは286名で、これらの参加者について詳しく検討した結果、フレキシタリアンにはエシカルな動機によるもの(140名)と実利的な動機によるもの(148名)という2つの異なるグループが存在することがわかった。
実利的な理由によるフレキシタリアンは、エシカル・フレキシタリアンに比べて、肉を好む傾向が強く(t (284) = -15.180、p < 0.001)、新しい食品に対する嫌悪感が強く(t (284) = -4.785、p < 0.001)、環境に対する意識が低かった(t (284) = 7.486、p < 0.001)。 エシカル・フレキシタリアンには女性が多く(χ2(1) = 13.366、p < 0.001)、生活に関する満足度がより高く(t (284) = 5.485、p < 0.001)、健康についての意識がより高く(t (284) = 5.127、p < 0.001)、肉の消費を減らす姿勢がより強かった(t (284) = -8.968、p < 0.001)。
また、エシカル・フレキシタリアンはプラントベース代替肉をより肯定的に捉えており、より健康的で(t (284) = 4.326, p < 0.001)、エシカルであると認識し(t (284) = 4.942, p < 0.001)、より積極的に取り入れる意欲を示していた(t (284) = 7.623, p < 0.001)。培養肉や昆虫由来タンパク質についての知識や意欲は2つのグループで同程度だったが、エシカル・フレキシタリアンは培養肉をより望ましいと捉えていた(t (250.976) = 2.964, p = 0.003)。
中欧・東欧諸国における食肉消費とフレキシタリアニズムに関する研究は乏しいが、本研究の結果は、発展しつつあるその傾向について新しい知見を提供するものである。健康と環境を守るため食肉の消費削減に向けた行動変容を促すうえでこれらは重要であり、生産者や販売者、学校や勤務先における食事サービスの担当者などを含む食品産業に対する指針となり得る。
Tanja Kamin, Andreja Vezovnik, Irena Bolko
2024/10/10
Changing Our Food Habits One Bite at a Time: Exploring Young Flexitarians in a Country with a High Meat Intake