論文概要
出産直後の子牛を母牛から引き離すといった慣行に関しては、畜産動物のクオリティ・オブ・ライフ (生活の質)の観点からしばしば社会的な懸念が向けられている。既存の科学的資料には、このような慣行を支持する調査結果もあれば(子牛を離した直後の急性ストレス反応を減らせることなど)、デメリットを示唆する知見もある(牛の子宮疾患のリスクが増加することなど)。
本研究の目的は、この方法をめぐる一般市民の見方を体系的に調査することである。具体的には、出生時の牛と子牛の分離に関して、アメリカとドイツの市民がどのように考えているかを、定量的セグメンテーションの手法を用いて分析する。
出産後の早期における分離には参加者の大多数が反対していたが、ごく一部はこの慣行を支持していた。早期の分離と後期の分離のどちらが良いかに関する参加者の考え方と、これらの慣行をめぐるさまざまな議論についての捉え方によって、3つのクラスターが特定された。米国の参加者では、ドイツの参加者に比べて早期の分離をより支持する傾向が見られた。これらの慣行を支持または支持しない論拠を提示すると、3つのクラスターにおける反応は異なっていたが、ほとんどの参加者では考え方に大きな変化は見られなかった。
これらの結果は、早期分離の慣行に関しては参加者の大部分において相当な反対意見があることを示しており、酪農業界はこうした懸念に対応するためのアプローチを検討すべきであることを示唆している。
Gesa Busch, Daniel M Weary, Achim Spiller, Marina A G von Keyserlingk
2017/03/16
American and German attitudes towards cow-calf separation on dairy farms