論文概要
目的: 現代の集約的な食糧システムは、健康と環境に対して望ましくない深刻な影響を及ぼしているが、その一方で、近年では持続可能な食生活が新しい傾向として現れつつある。本研究では、全般的な食事パターンとオーガニック食品の消費、これらに関連する社会人口統計学的要因の観点から、最近4年間の食生活の傾向を検証した。
方法: 2014年・2018年の疫学コホート(ニュートリネット・サンテ NutriNet-Santé)の参加者18,108名に関して食事摂取量を評価した。食品摂取頻度調査票のデータから、オーガニック食品と従来型食品の消費量を推定した。食品消費の変化・食生活の質(フランス国民向けガイドラインへの遵守度として評価)・先行研究で公開された評価法によるプラントベース食のスコア・オーガニック食品の摂取量を調べるとともに、社会人口統計学的要因との関連について検証した。食事摂取量の比較には対応のある t検定、社会人口統計学的要因の検証にはKruskal-Walllis 検定を、それぞれ用いた。
結果: 食肉および加工肉の消費量は減少しており、その減少幅はそれぞれ5.09 g/日(SD 51.15)および1.12 g/日(SD 26.05)であった。オーガニック食品の総消費量は、平均では12%増加していたが(+93 g/日),オーガニック食品の消費量は減少しており、その減少幅は魚介類 -1.4 g/日,鶏肉 -1 g/日,加工肉 -0.3 g/日,肉類 -3.3 g/日となっていた。より健康的な食生活をめざす傾向は特定の集団において顕著であり、例えば、女性や若年者、大学院生では、健康的な植物性・動物性食品やオーガニック食品の摂取を増やして食生活全体の栄養の質を改善する傾向が見られ、追跡調査期間を通じてこうした傾向は他の参加者より強かった。
結論: 本研究の結果は、少なくとも社会の一部の層では、4年間でより健康的なプラントベースの食生活へとわずかに変化していることを示している。動物性食品の消費が減少し、健康的なプラントベース食品やオーガニック食品の消費が増加していることから、一定のサブグループではより持続可能な食生活をめざす潜在的な傾向があると考えられる。このような変化が環境に与える影響に関しては、持続可能な食生活を維持・改善する方法とともに、今後の研究で評価する必要があり、これはとりわけ持続可能な食生活への移行に取り組んでいない人々に関して重要である。
Joséphine Brunin, Philippe Pointereau, Benjamin Allès, Mathilde Touvier, Serge Hercberg, Denis Lairon, Julia Baudry, Emmanuelle Kesse-Guyot
2021/07/06
Are recent dietary changes observed in the NutriNet-Santé participants healthier and more sustainable?