論文概要
背景と目的: 骨密度と体組成*1は、健康な代謝と身体機能の維持のために重要な役割を果たしている。プラントベースの食事に含まれるタンパク質とカルシウムは、肉を含む食事に比べて低いことが知られており、骨密度と体組成に影響している可能性がある。本研究では、様々なタイプのプラントベース食を肉を含む通常の食事と比較し、全身の骨密度・身体組成・体重との関係について検証した。
方法: 普段の食生活でヴィーガン、ラクトオボベジタリアン、ぺスカタリアン、セミベジタリアン、肉を含む通常の食事のいずれかを摂っている30~75歳の成人240名を対象として横断研究を実施した(各グループで48名)。骨密度と体組成に関するパラメータは二重エネルギーX線吸収測定法を用いて測定し、多変量回帰分析を用いて、生活習慣による交絡因子・社会経済的要因・BMI を調整した。
結果: 多変量回帰分析で調整すると、全身の骨密度および体組成では、プラントベース食と通常の肉を含む食事の間には有意差はなかったが、唯一の例外はラクトオボベジタリアンの除脂肪体重*2において -1.46 kg(CI:-2.78, -0.13)の有意な低下が見られたことである。さらに、骨密度のTスコアに関しては、ラクトオボベジタリアンでは肉を食べる人と比較して-0.41 SD(CI:-0.81、-0.01)の有意な低下が見られた。
プラントベース食を遵守している人ではウエスト周囲径が有意に短く、肉を食べる人と比較すると、ヴィーガンで -4.67 cm(CI:-8.10、-1.24)、ラクトオボベジタリアンで -3.92cm(CI:-6.60、-1.23)、ぺスカタリアンで -3.24 cm(CI:-6.09、-0.39)、セミベジタリアンで -5.18 cm(CI:-7.79、-2.57)となっていた。除脂肪量(%)、脂肪量(%および総計)、アンドロイドおよびギノイド肥満に関する測定値、体重、BMI には、食事パターン間で有意差はなかった。カルシウムとタンパク質に関して推奨される摂取量は、すべての食事パターンで満たされており、25ヒドロキシビタミンDの状態はグループ間で同等であった。
結論: プラントベース食を遵守する場合、乳製品と肉の摂取が様々な程度に制限されるが、横断研究の結果から、カルシウムとタンパク質の摂取量が適切なレベルになるように食生活を計画していれば、骨密度や体組成の変化が問題となることはないことが明らかになった。
*1 身体を構成する脂肪、筋肉、骨、水分などの成分とその割合のこと *2 全体重のうち体脂肪を除いた筋肉や骨,内臓などの総量
Grace Austin, Jessica J A Ferguson, Shaun Eslick, Christopher Oldmeadow , Lisa G Wood, Manohar L Garg
2024/06/21
Bone mineral density and body composition in Australians following plant-based diets vs. regular meat diets