論文概要
ソーシャルメディアは、食行動に対して広く影響を及ぼしており、特にヴィーガニズムにとっての重要性は増しているが、これまでに十分に検討されてこなかった。我々が最初に行った4つの研究では、ヴィーガニズムに関してインスタグラム Instagramに見られる情報が全般にどのようなものかを探索した。次に、このような情報環境が心理メカニズムに影響することでヴィーガン食を実践する意思とどのように関わっているかを検証した。
研究1では、インスタグラムで #veganのタグが付けられた計44,316件の投稿に関するデータを抽出し、そのハッシュタグを用いたネットワーク分析を行い、さらに研究2では画像によるクラスター分析、投稿されたメッセージに関するセンチメント分析を行った。研究3(117名)および研究4(251名)ではオンライン調査を実施し、インスタグラムのコンテンツに対する関わり方、心理構成要素、ヴィーガンを実践する意思の間にどのような関連があるかを検証した。
ヴィーガニズムに関する投稿は、食品・健康とフィットネス・化粧品・写真に関連するものが多かった。画像で最も多く描かれていたのは食品で(34.7%)、次いで食品以外の製品(30.4%)、人物(7.9%)、動物(2.0%)となっていた。ほとんどの投稿に見られる感情はポジティブなものだった。ヴィーガンを実践する意思と一貫して強く関連していたのは、ヴィーガニズムに関するインスタグラムのコンテンツに触れることであり、そうしたコンテンツを自ら積極的に投稿したり交流したりすることではなかった。これらの効果において最も重要な心理メカニズムは、態度と自己アイデンティティであった。食べ物は、ヴィーガニズムに関する投稿の中で最も目につくトピックではあるが、これが唯一の話題というわけではなく、こうした文脈で使用されるハッシュタグは、ヴィーガンを実践する動機と部分的に関連していた。
このような情報環境に接することで心理メカニズムに変化が起こり、現実の食事における選択に影響している可能性がある。ソーシャルメディアの利用が拡大し、潜在的な影響力を持つにつれて、健康に関する心理学の研究と実践においてその存在はますます注目されるようになるはずである。
Philipp Kadel, Nicolas Heist, Heiko Paulheim, Jutta Mata
2024/09/01
From Pixels to Palate: Communication around #vegan on Instagram and its relation with eating intentions