論文概要
肉の大量消費は、スイスのような先進国でも、ベトナムのような新興国でも見られる現象であり、環境・社会・健康への影響に関連している。健康的で持続可能な食生活を望む消費者は両国で増加しているにもかかわらず、異なるニーズや障壁に直面していることを踏まえ、本研究では社会的実践理論*1 に基づき、社会的実践がグリーン・コンシューマー*2 の肉消費に及ぼす影響を探る。
データ収集はオンラインのグループ・ディスカッションで実施した。グリーン・コンシューマーにとって、食肉消費は一定の意味を持ち、入手可能な情報にとりわけ依存していることがわかった。肉消費を決める行動は、ベトナムでは健康と食品の安全性に強く影響されるが、スイスでは環境への悪影響が重要である。社会的・文化的な側面もまた、両国において、肉を食べるか食べないかの決定に大きく関わっている。ベトナムでは特別な日の食事に肉は欠かせないのに対し、スイスでは社交の場で食べられることが多い。食肉消費は、どちらの国でも社会的なステータスと関連しているが、家族の影響はスイスよりもベトナムの方が強い。
以上の結果から、食肉削減を促進する有望な介入手段となるのは、地域や文化、消費者集団の特性に合わせることで、個人の行動より社会的慣行に的を絞った政策措置である。
*1 社会状況と実践の関係を考察する社会科学の理論。精神的なプロセスよりも、社会的文脈の下での人々の行動や行為を重視する。*2 環境に配慮した製品を選択・購入する消費者のこと
Evelyn Markoni, Thanh Mai Ha, Franziska Götze, Isabel Häberli, Minh Hai Ngo, Reto Martin Huwiler, Mathilde Delley, Anh Duc Nguyen, Thi Lam Bui, Nhu Thinh Le, Bao Duong Pham, Thomas A. Brunner
2023/07/25
Healthy or environmentally friendly? meat consumption practices of green consumers in Vietnam and Switzerland