論文概要
イタリアでは豚肉の消費量が増加しているが、その一方で、消費者はアニマルウェルフェアと食品の安全との関連性に関してより敏感になっている。アニマルウェルフェアの基準が比較的高くなり、畜産動物のウェルフェアや倫理面の問題に対する消費者の関心が多様になっていることを考慮し、本研究では、豚のウェルフェアに配慮した飼養に関する消費者の行動・態度を取り上げた前回の論文に引き続き、豚のウェルフェアに関する消費者の認識について調査し、アニマルウェルフェアに基づいた飼育技術で生産された豚肉に対して、より高い価格を支払う意思について検証した。
イタリア・メッシーナ県の消費者404名を対象として、アンケートによるアドホック調査を実施した。その結果、消費者の47%には、アニマルウェルフェアに関して一定の基準を採っている農場で生産された豚肉に対して上乗せした価格を支払う意思があることがわかった。このような支払いの意思は、飼養技術の性質との間に正の相関関係があった(p = 0.001)。また、上乗せ価格を支払う意思との正の相関関係は、有機的方法による飼養(p = 0.001)、アニマルウェルフェアが配慮され保証されている農場(p < 0.001)に対しても見られた。
これらの結果は、消費者には、動物に配慮した飼育方法で生産された豚肉に対して、他の畜産製品と同様に、より高い価格を支払う意思があることを示唆している。豚肉の消費に対する消費者の態度に影響を与えているのは、アニマルウェルフェアに対する一人ひとりの感じ方であるのかもしれない。
Giannetto, C., Biondi, V., Previti, A., De Pascale, A., Monti, S., Alibrandi, A., Zirilli, A., Lanfranchi, M., Pugliese, M., Passantino, A.
2023/11/21
Willingness to Pay a Higher Price for Pork Obtained Using Animal-Friendly Raising Techniques: A Consumers’ Opinion Survey