論文概要
食肉の消費を減らす介入手段を開発し、持続可能性の向上を推進するに先立って、すでに肉の消費を減らそうとしている消費者がどのような動機を持ち、どのような食事パターンや嗜好を持っているかを理解する必要がある。これまでの研究では、自己申告によって肉を減らしている人々を特定するのが一般的であったが、食物摂取頻度に関するデータによれば、こうした減量者の中には、自分が依然として雑食であると考えている人々がいることが示唆されており、ここではこうした人々を移行期の肉減量者 transitional meat reducer と呼ぶことにする。
本研究では、これら移行期の減量者を、自己申告による肉減量者・雑食で制限のない人・ベジタリアン・ヴィーガンと比較し、食事の内容・肉食を控える動機・豆類(乾燥豆・エンドウ豆・レンズ豆)やプラントベース代替肉をより多く摂取するうえで感じている障壁について検証した。
便宜的サンプリングで募集したカナダの大学生 438名がオンライン調査に回答した。参加者のうち、34%が自己申告による肉減量者、16%が移行期の減量者、33%が制限のない雑食者、16%がベジタリアン・ヴィーガンであった。赤肉を食べる頻度は異なっており、自己申告による減量者では、移行期の減量者や制限のない雑食者に比べて赤肉を食べる頻度は低かった。肉を控える動機は、自己申告と移行期の2つの減量者グループで変わらなかった。
制限のない雑食者や自己申告の減量者に比べて、移行期の減量者では他のタンパク質食品を摂取する頻度が有意に高かった。また、豆類に対してより高い障壁を感じていたが、プラントベース代替肉に対しては障壁を感じていなかった。最後に、今後の食事でこれらの主菜を取り入れる意向は、その種類に関わらず2つの減量者グループで非常に類似していた。しかし、自己申告による減量者では、肉を豆類やプラントベース代替肉で完全に代替した食事のほうが、部分的に代替した食事よりも好まれていた。
食肉の消費を減らすための介入策を検討する際に、移行期の減量者は、雑食の人や自己申告による減肉者とは明瞭に異なるグループである可能性がある。
Jessica MacDonald, Paula Brauer, Sunghwan Yi
2023/07/14
Meat reduction among post-secondary students: Exploration of motives, barriers, diets and preferences for meals with partial and full meat substitution