論文概要
さらなる気候変動に歯止めをかけ、現在の世界の食糧システムがもたらす壊滅的な環境悪化を抑えるためには、肉の消費量を減らすことが不可欠である。しかし、先進工業国の消費者は、肉の摂取量を減らすことに前向きとは言えず、これにはプラントベース食品に魅力を感じていないことが理由となっていることが多い。気候変動が差し迫っているにも関わらず、肉を食べることはいまだに当たり前のこととして認識されており、ほとんどの国では食事ガイドラインのなかで推奨されている。
この総説では、プラントベース食品を大多数の消費者にとってより魅力的なものとするために役立つ知見を提供し、これによって持続可能な食生活への移行を支援することを目指す。そのため、肉を使った食品とプラントベース食品について人々がどのように考え、情報を伝えているかについて最近の研究成果を紹介する。
関連文献を検討して得られた主な知見は以下の通りである: 1.ヴィーガンがプラントベース食品を(おいしい・満足感・ジューシーなど)楽しい食体験として捉えているの対し、雑食の人にとってプラントベース食品は、健康やヴィーガンのアイデンティ、その他、消費意欲をあまり刺激しない抽象的な情報と結びついている。2.肉を使った食品に比べて、プラントベース食品が調理済み食品のパッケージやインスタグラムの投稿で紹介される際には、楽しい食体験として語られることがあまりない。3.楽しい食体験に触れるような言葉を使って紹介すれば、プラントベース食品はより魅力的に見えるものとなり、特に習慣的に肉を食べる人々に対しては効果がある。
こうした言葉の言い回しとしては、食べ物に関する感覚的な特徴(カリカリ、クリーミーなど)、食事の状況(パブ、家族と一緒など)、食べることによって直ちに得られるポジティブな効果(心地よい、おいしいなど)などが含まれる。一方、「ヴィーガン」という言葉は、否定的なステレオタイプと強く結びついている。従って、プラントベース食品について語る場合には、ヴィーガンであること、肉を食べないこと、健康的であることなどよりは、感覚的な魅力、魅力的な食事の状況、楽しさを意味するような言葉を使うべきである。
Esther K Papies, Tess Davis, Stephanie Farrar, Maddie Sinclair, Lara H Wehbe
2023/11/29
How (not) to talk about plant-based foods: using language to support the transition to sustainable diets