論文概要
政治学と心理学の文献に基づいて、本稿では動物に関する政治的関心や、動物への配慮を訴える立候補者が有権者の反発を引き起こすという問題について議論する。これを検証するため、一般的な米国市民の参加者からなる大規模サンプルを用いて2種類の実験を実施した。研究では回答者に、米国大統領選挙の予備選に挑んでいる候補者について考えることを求めた。
結果では全体として、環境のために食肉消費を減らす必要について訴えた場合、比較対照条件や(同じく環境のために)ガソリン車への依存を減らす必要について訴えた場合に比べると、有権者の反発を引き起こすことがわかった。
しかし、この効果には、回答者が所属する党派によって大きな違いがあったーすなわち、有権者の反発は主に共和党支持者によるものであり、民主党支持者では中立的であった。意外な結果として、選挙中に畜産動物の権利について訴えた候補者は、共和党支持者からも民主党支持者からも反発を受けなかった。
動物への配慮を訴える候補者、特に黒人女性やラテン系女性の候補者で、個人として畜産動物への懸念やアニマルライツに対する強い支持を示していた場合には、選挙の結果は概して非常に良く、有権者の支持は大きく増加していた。この研究結果は、政治心理学において「動物を政治に取り込む」という新たな研究課題を切り拓くものである。
Sparsha Saha
2023/06/23
Why don't politicians talk about meat? The political psychology of human-animal relations in elections
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