論文概要
プラントベースの食生活が人類と地球の健康を促進することは、これまでの研究結果が一貫して示している。動物性食品の大規模生産を縮減することは環境面からみて有益であり、これは畜産チェーン全体が、温室効果ガスの排出・土地の変化と劣化・水資源の枯渇に対して非常に大きく寄与しているためである。しかし、動物性食品をプラントベース食品に置き換えるには、プラントベース食品が含む栄養の質と生産・加工事業による資源使用量を考慮する必要がある。
米国では、よりプラントベースの食生活への移行を支援するために、国・州・自治体レベルで政策の改革が実施されてきた。連邦政府のプログラムである「補助的栄養支援プログラム」や「米国民向け食事ガイドライン」などでは、全体として未加工のプラントベース食品の消費を推進しているが、持続可能性や動物性食品が環境に与える有害な影響に関する情報はほとんど含まれていない。
州の取り組みでは国の政策を補完し、地元業者からの農産物購入を奨励するとともに、資源保護型の農業を促進することが目標とされている。地域レベルでは、公立学校がプラントベースのタンパク質を給食メニューに取り入れるプログラムを実施し、全国で誕生している都市型庭園によって有機農法に触れる機会が増えている。
このミニ・レビューでは、こうした政策改革や行動介入戦略を社会生態学モデルに基づいて検証し、持続可能なプラントベースの食生活への転換を米国で促進するうえで、それらの有効性と限界について議論する。動物性食品が中心となっている米国の食料システムをプラントベース食品へと転換するには、多部門にわたる協力と状況に応じた政策対応が必要であり、健康・社会・経済上の制約を考慮しつつ、食生活に関連する気候変動への懸念に取り組むことが求められる。
Alan Espinosa-Marrón, Kate Adams, Lea Sinno, Alejandra Cantu-Aldana, Martha Tamez, Abrania Marrero, Shilpa N. Bhupathiraju, Josiemer Mattei
2022/05/04
Environmental Impact of Animal-Based Food Production and the Feasibility of a Shift Toward Sustainable Plant-Based Diets in the United States