論文概要
背景: プラントベースの食事は、II型糖尿病のリスクを減らすために推奨されてきた。しかし、すべてのプラントベース食品が有益であるというわけではない。われわれは、米国における3つの前向きコホート研究において、プラントベース食の全般、およびこれを健康的なものと健康的でないものに仮に分類して、II型糖尿病の発症率との関係を検証した。
方法と結果: 研究対象者は、ナースヘルス研究(1984~2012年)の女性69,949人、ナースヘルス研究2(1991~2011年)の女性90,239人、医療従事者追跡調査(1986~2010年)の男性40,539人で、ベースラインの時点で慢性疾患はなかった。食事データの収集は、2~4年ごとに半定量的な食物摂取頻度調査票を用いて実施した。これらのデータを用いて、プラントベース食品に対してプラスのスコアを付け、動物性食品(動物性脂肪・乳製品・卵・魚/魚介類・鶏肉/赤肉・そのほかの動物性食品)にマイナスのスコアを付けることによって、プラントベース食全般に関する指標を算出した。さらに、健康的なプラントベース食品(全粒穀物・果物・野菜・ナッツ類・豆類・植物油・茶/コーヒー)にプラスのスコアを付け、健康的でないプラントベース食品(フルーツジュース・甘味飲料・精製穀物・ジャガイモ・菓子/デザート)とおよび動物性食品にマイナスのスコアをつけることで、健康的なプラントベース食に関する指標を算出した。最後に、健康的でないプラントベース食品をプラス、健康的なプラントベース食品と動物性食品をマイナスのスコアとし、健康的でないプラントベース食に関する指標を算出した。
4,102,369人年の追跡期間において、II型糖尿病の発症が見られたのは16,162例であった。多変量調整解析において、プラントベース食全般および健康的なプラントベース食に関する指標は、いずれもII型糖尿病の発症率と逆相関していた(プラントベース食全般:ハザード比[HR]0.51、95%CI 0.47-0.55、p<0.001;健康的なプラントベース食: HR 0.55、95%CI 0.51-0.59、p<0.001)。II型糖尿病とプラントベース食全般との関連は、BMI(体格指数)について調整するとある程度弱くなったものの(HR 0.80、95%CI 0.74-0.87、p<0.001)、II型糖尿病と健康的なプラントベース食の関連は概ね不変であった(HR 0.66、95%CI 0.61-0.72、p<0.001)。健康的でないプラントベース食では、BMIについて調整を行ってもII型糖尿病と正の関連が見られた(HR 1.16、95%CI 1.08-1.25、p<0.001)。本研究の限界としては、自己報告による食事評価であり、測定誤差を伴う可能性があること、観察研究デザインであるため、残差または未測定の交絡因子が存在する可能性があることなどが考えられる。
結論: 本研究の結果は、プラントベースベースの食事、特に良質の植物性食品を豊富に含む食事は、II型糖尿病の発症リスクを大幅に低下させることを示している。このことは、現在推奨されているように、健康的ではない植物性食品や動物性食品を減らし、健康的な植物性食品を多く含む食事へシフトすることを支持するものである。
Ambika Satija ,Shilpa N. Bhupathiraju,Eric B. Rimm,Donna Spiegelman,Stephanie E. Chiuve,Lea Borgi,Walter C. Willett,JoAnn E. Manson,Qi Sun,Frank B. Hu
2016/06/14
Plant-Based Dietary Patterns and Incidence of Type 2 Diabetes in US Men and Women: Results from Three Prospective Cohort Studies