論文概要
目的: 乳がんの治療は体重の増加を伴うことが多いが、これに関連する肥満や心代謝・ホルモンの危険因子が治療の転帰に悪影響を及ぼすことがある。食事面での介入を行うことでこうした危険因子に対処できる可能性はあるが、全身療法を必要とする転移性乳がんに関する研究は限られている。
方法: 転移性乳がんの治療中で経過が安定している女性患者を対象として、8週間の介入群(21名)または対照群(11名)に2対1の割合で無作為に割り付けた。介入群では、状態評価のため週1回の訪問を実施し、ホールフード・プラントベース食が調理済みの食事とともに提供された。心代謝・ホルモン・腫瘍マーカーの検査を(介入前の)ベースライン、介入から4週間後および8週間後に実施した。
結果: 介入群では、8週間後に平均体重がベースラインに比べて6.6%減少した(p < 0.01)。空腹時インスリンは16.8 uIU/Lから11.2 uIU/Lに低下し(p < 0.01)、さらにインスリン抵抗性も有意に減少した。総コレステロール値は193.6 mg/dLから159 mg/dLに低下し(p<0.01)、LDL コレステロールは104.6 mg/dLから82.2 mg/dLに低下した(p < 0.01)。性ホルモン結合グロブリン値は74.3 nmol/Lから98.2 nmol/Lに増加した(p < 0.01)。総テストステロン値には変化が見られなかったが、介入群では遊離テストステロンに低下傾向が見られた(p = 0.08)。8週間後の腫瘍マーカーの検査値に有意差は見られなかったものの、介入群におけるCA 15-3・CA 27.29・CEAの平均値をベースラインで調整した場合、対照群に比べて低下していた(それぞれ p = 0.53、p = 0.23、p = 0.54)。
結論: 転移性乳がんの治療期間にホールフード・プラントベース食を導入する場合、患者側の忍容性は高く、体重および心代謝・ホルモン関連の検査値を有意に改善できる。今後はより長期間の試験において、こうした変化がどの程度持続するかを評価する必要がある。この臨床試験のプロトコールは 2017年2月7日にClinicaltrials.gov(NCT03045289)に登録された。
Thomas M Campbell, Erin K Campbell , Eva Culakova , Lisa M Blanchard , Nellie Wixom , Joseph J Guido , James Fetten, Alissa Huston, Michelle Shayne, Michelle C Janelsins , Karen M Mustian, Richard G Moore, Luke J Peppone
2024/03/06
A whole-food, plant-based randomized controlled trial in metastatic breast cancer: weight, cardiometabolic, and hormonal outcomes