論文概要
魚類とその他の水生生物の養殖は最近の数十年間に増加し、魚類の飼育におけるアニマルウェルフェアがかつてこれほど議論されたことはなかった。養殖で用いられる手法やこれに関連するアニマルウェルウェルフェアの問題は、科学者・消費者・政策立案者からますます注目されるようになっている。国際機関や国内の政府機関からは、魚類のウェルフェアに関する勧告や指針が発表されているが、未だ多くの情報が不足している。
ドイツの動物保護法第2条によれば、動物には適切なやり方で栄養とケアを与えて行動できるようにしなければならず、痛みや必要のない苦しみとケガは避けなければならない。このような動物保護法に従って魚類を飼育することは、養殖業において望ましい慣行に含まれなければならず、倫理的、法的および経済的な理由からも不可欠である。魚類もまた、他の脊椎動物と同様に肉体的・精神的に健全な生活を送る権利があり、そのような環境では問題のない適切な行動が可能となる。
本稿では、ドイツの動物愛護法とEUによる規制を例に、動物保護に関して魚類に適用される法の諸側面を提示して考察する。最初に、ウェルフェアの評価のために利用可能な指標について述べる。魚類のウェルウェルフェアに関する指標は、給餌・捕獲・選別・屠殺など、毎日の通常の作業ルーチンの範囲で評価する必要がある。さらに、魚類のウェルフェアに関する消費者の認識や人々の解釈の仕方について考察し、魚類に対する人間の感情、魚類に存在する意識に関する議論の文脈の中にこれを位置づける。
Henrike Seibel, Lina Weirup, Carsten Schulz
2020/01/02
Fish Welfare – Between Regulations, Scientific Facts and Human Perception