論文概要
- 食肉に関する意識と規範には、2011年から2019年でわずかな変化が見られた
- 食肉に関する態度と規範に基づいて5つの消費者セグメント*を特定した
- 肉を志向する消費者には、強迫的な肉食者と愛好家(肉好き)の2つのセグメントがある
- フレキシタリアン消費者には、無意識的・潜在的・意識的の3つのセグメントがある
- これらの消費者セグメントは、2010年からの10年間では安定していた
肉の大量消費は、環境への大きな負荷や人間の健康への悪影響に関わっている。欧米の食生活においては食肉消費の削減が必要となっているが、食肉に関する消費者の考え方や規範、行動は様々に異なっている。本研究の目的は、食肉消費とその削減についての理解を深めることにある。
食肉に関して複数の異なる消費者セグメントを特定し、2010年の10年間におけるこれらのセグメントの変化、その考え方や規範の変化について調査した。オランダの成人を対象として、2011年(1253人)と2019年(1979人)の2回にわたってオンライン調査を実施した。いずれの調査でも、以下のような消費者セグメントが特定された―肉を志向する2つのセグメント(強迫的な肉食者と愛好家)と食肉削減を志向するセグメント(無意識的・潜在的・意識的なフレキシタリアン)。これらのセグメントは、食肉削減についての考え方や規範・動機、肉の消費量とその意図、社会人口統計学的および心理学的プロフィールにおいて互いに異なっていた。経年比較では、わずかではあるがポジティブな変化が見られた。
結論として、食肉消費者は、食肉への強い執着から大幅な節食までに連続したいくつかのグループに分類できる。これらのグループにターゲットを絞って刺激することで、よりフレキシタリアン的な方向へ食生活をシフトさせるようなアプローチを開発する必要がある。2010年代のオランダにおけるフレキシタリアニズムの展開を考えると、プラントベース主体のフレキシタリアン食へ向けてはまだ長いみちのりがあると考えられる。
*マーケティングにおいて、年齢・性別・居住地域・収入・ライフスタイルなどに基づいて消費者を分類して得られる消費者のグループを指す
Muriel C.D. Verain, Hans Dagevos, Patricia Jaspers
2021/10/25
Flexitarianism in the Netherlands in the 2010 decade: Shifts, consumer segments and motives