寄付論文概要
本研究は、20～40週齢のローマン・ブラウン種の採卵鶏を対象に、バタリーケージシステムで飼育する際の光強度（高：121.8ルクス、中：57.4ルクス、低：11.9ルクス）と飼育密度（高：1羽あたり552.3 cm²、中：736.3 cm²、低：1104.5 cm²）がパフォーマンス、卵質、および特定の羽毛状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。体重は19週齢および50%産卵率（性成熟）に達した時点で個体別に測定し、飼料摂取量、産卵数、卵重、飼料転換率（FCR）は毎週測定した。また、40週齢時には羽毛状態を個体別に評価した。
高光強度かつ低飼育密度で飼育された雌鶏は、他の群よりも早く性成熟に到達し、産卵ピークも早かった。最も体重が大きかったのは高光強度下の群（1536.6g）で、最も小さかったのは中光強度下の群（1461.2g）であった。高光強度および中光強度で飼育された雌鶏は、低光強度群よりも多くの卵を産み（それぞれ120.5個、120.0個、112.8個）、さらに、低密度および中密度の群は高密度群よりも産卵数が多かった（それぞれ119.7個、120.7個、112.9個）。一方、低光強度（61.6g）および中光強度（61.0g）で飼育された雌鶏の卵は、高光強度（59.6g）で飼育された雌鶏の卵よりも重量が大きかった。飼料摂取量はいずれの処理区でも大きく変わらなかったが、低密度および中密度群の雌鶏は高密度群よりも飼料転換率が優れていた（それぞれ2.19、2.20、2.40）。
以上の結果から、1羽あたり50～60ルクスの照度と700～800 cm²のケージ床面積を確保することで、鶏の福祉と生産性のバランスを維持した持続可能な生産が可能であることが示唆された。
※以下は論文中の図表の訳出。
表2 飼育密度毎の集団の特徴
| 飼育密度 | 羽数 | ケージ内の床面積（平方メートル/羽） | 給餌機の空間（cm/羽） | ニップルドリンカー（n/羽） |
| 低（LD） | 2 | 1104.5 | 23.5 | 1.00 |
| 中（MD） | 3 | 736.3 | 15.7 | 0.67 |
| 高（HD） | 4 | 552.3 | 11.8 | 0.50 |
表4 （の一部）
| 効果 | EY₁ (n/bird) | EW (g) | FI (g/day) | FCR (g feed/g egg) |
|---|---|---|---|---|
| Stocking density (SD) | ||||
| LD | 119.7(a) | 60.4 | 121.1 | 2.19(b) |
| MD | 120.7(a) | 60.9 | 121.3 | 2.20(b) |
| HD | 112.9(b) | 60.9 | 124.1 | 2.40(a) |
| SEM | 0.84 | 0.16 | 0.87 | 0.04 |
| P values | ||||
| Light intensity | 0.000 | 0.000 | 0.241 | 0.866 |
| Stocking density | 0.000 | 0.191 | 0.332 | 0.002 |
| LI × SD | 0.268 | 0.207 | – | – |
各手段間の差異は、ダンカン多重比較検定を用いて検定した。共通の下付き文字を持たない列における手段は、有意に異なる（P < 0.05）
HL：高照度、ML：中照度、LL：低照度、LD：低飼育密度、MD：中飼育密度、HD：高飼育密度、EY：産卵量（羽当たり）、EW：卵重（g）、FI：飼料摂取量（g/日・羽）、FCR：飼料要求率（g飼料/g卵）、SEM：平均標準誤差
a：初産から40週齢まで
b 性的成熟から40週齢まで
図1 光強度と飼育密度の相互作用が頭部の羽毛状態に及ぼす影響。HL：高光強度、ML：中光強度、LL：低光強度、LD：低飼育密度、MD：中飼育密度、HD：高飼育密度。a、b、c：共通の添え字を持たない棒グラフ内の平均値は、有意に異なる（P <0.05）。平均値間の差異は、ダンカン多重比較検定を用いて検定した。
図2 光強度と飼育密度の相互作用が尾羽の状態に及ぼす影響。 HL：高光強度、ML：中光強度、LL：低光強度、LD：低飼育密度、MD：中飼育密度、HD：高飼育密度。 a、b、c、d、e：共通の添え字を持たない棒グラフ内の平均値は、有意に異なる（P < 0.05）。 平均値間の差異は、ダンカン多重比較検定を用いて検定した。
図3 光強度と飼育密度の交互作用が胸の羽毛の状態に及ぼす影響。 HL：高光強度、ML：中光強度、LL：低光強度、LD：低飼育密度、MD：中飼育密度、HD：高飼育密度。 a,b,c,d,e：共通しない上付き文字を持つ棒グラフ内の平均値は、有意に異なる（P <0.05）。 平均値間の差異は、ダンカン多重比較検定を用いて検定した。
Kadir Erensoy, Musa Sarıca, Moise Noubandiguim, Mete Dur & Resul Aslan
2021/05/13
Effect of light intensity and stocking density on the performance, egg quality, and feather condition of laying hens reared in a battery cage system over the first laying period
