論文概要
食肉摂取量を削減することは環境悪化と非伝染性疾患の低減に寄与するが、食肉削減のための政策的介入の手段は限られており、世界全体で食肉の摂取量は依然として多い。ミートフリー・マンデーは、人類と地球の健康を改善するために、食肉の消費量を15%削減する世界規模のキャンペーンである。2020年、ネルソン・マールボロ地区保健局*は、公立病院の職員と来客が利用するカフェでミートフリー・マンデーを導入し、ノースランド地区保健局では2ヶ月にわたってミートフリー・マンデーを試験的に実施した。
研究では、これら2つの地区保健局に加え、ミートフリー・マンデー政策を検討していなかったオークランドにおいて、職員および管理職のミートフリー・マンデーに対する考え方、実施に際しての障壁と成功要因について、混合研究法を用いて調査した。2つの地区保健局でオンライン調査を実施し、食品サービスの管理者・カフェの支配人・持続可能性部門の担当者を対象として11回の半構造化インタビューを行った。オンライン調査には194件の回答が寄せられた(オークランドから105件、ネルソンとマールボロから89件)。
調査対象者のうち51%が積極的に肉を減らしており、その主な理由は健康や環境への配慮、プラントベースの料理を楽しむためであった。対象者のうち59%はミートフリー・マンデーに対して肯定的で、31%は否定的であった。インタビューについての質的分析および調査で用いた自由形式の質問においては、対象者から得られた意見は主に次の4つのテーマに関するものだった。1.変化と選択:ミートフリー・マンデーが個人の選択に与える影響、食習慣を変えることへの抵抗 2.良い商品と適正な価格:食品の品質・外観・栄養バランス、ミートフリー・マンデー政策が顧客の維持と売上に与える影響 3.人間と地球の健康:健康で持続可能な食生活を推進する存在として、ミートフリー・マンデーと病院には共通の利益がある 4.導入が成功したこと:ミートフリー・マンデー政策を成功させ、職員の健康と幸福を維持するための相談やコミュニケーション、教育など。
ミートフリー・マンデーを成功させるための提言としては、食品サービスおよび地区保健局のスタッフを交えて幅広く協議すること、ミートフリー・マンデーの成功と代替案についてデータを提供する必要があること、食をめぐる環境に広く配慮すること、および食品の提供において栄養士のサポートが必要なことなどが含まれていた
*ニュージーランドにおいて公立病院での医療サービスを管轄・提供する地方機関
Ella Ewens, Leanne Young, Sally Mackay
2023/03/10
Meat-Free Mondays at Hospital Cafés in Aotearoa