論文概要
今日、多くの市民ランナーが雑食からベジタリアン・ヴィーガンへと食生活を変えているが、その理由となっているのは、パフォーマンスの向上・アニマルウェルフェア・健康の増進・環境問題・男性不妊などである。また、フレキシタリアンの食生活を築いている人々では、持続可能な食生活に関する最近のトレンドを意識していることもある。この調査の目的は、長距離を走る市民ランナーのうち持続可能な食生活を遵守している人々を対象として、食習慣とレース当日の食事戦略について分析することである。
18歳以上の市民ランナーを対象として標準化されたオンライン調査を実施し、社会人口統計学/身体計測データ・動機・ランニング/レース歴・食事頻度・レース当日の食事戦略(カロリー・栄養素・水分の摂取量、サプリメントの利用など)について回答を求めた。統計解析にはカイ二乗検定とウィルコクソン検定を用いた。合計で289名が調査に回答し、最終的なサンプルにはフレキシタリアン34名、ベジタリアン50名、ヴィーガン62名が含まれていた。食生活の違いによる有意差は、BMI(p = 0.018)、果物・野菜の消費量(p < 0.001)、パフォーマンス向上が食生活の動機となっている割合(p = 0.045)に関して認められた。
肉食が中心となっている社会では、完全なベジタリアン・ヴィーガンの食生活はあまり支持されていないが、本研究の結果は、健康や環境への意識の高い人々にはフレキシタリアンの食生活が適していることを示唆している。健康志向が強くスポーツを習慣とする人々にとってプラントベースの食生活は容易なことであり、長距離を走るランナーにとって、ヴィーガンの食事を摂ることは、レースに備えた特別な努力や難しい戦略を要するものではないと考えられる。
Derrick R Tanous, Mohamad Motevalli, Claus Leitzmann, Gerold Wirnitzer, Thomas Rosemann, Beat Knechtle, Katharina Wirnitzer
2024/05/27
Dietary Habits and Race Day Strategies among Flexitarian, Vegetarian, and Vegan Recreational Endurance Runners: A Cross-Sectional Investigation from The NURMI Study (Step 2)