論文概要
肉食を拒む人々(ベジタリアン・ヴィーガン)は、肉を食べる人々を暗黙裡に批判し、道徳的な意味で脅かしていると感じられるため、肉を食べる人々からしばしば軽蔑の目で見られる。このような「慈善家への軽蔑 do-gooder derogation」に対して、コミュニケーションのスタイルがどのような影響を及ぼすか、事前登録された2つの実験(参加者数 323人・243人)で検証した。このため、参加者が道徳的な脅威を感じるような実験課題を準備した。
オンラインで実施した実験では、肉食を拒む人物が執筆したエッセイが提示され、参加者に読むことを求めた。このエッセイは、自信に満ちて、肉を食べないという結果を強調した「静的な」語り方、または、より不確かで模索や葛藤のプロセスを反映した「動的な」語り方、のいずれかのスタイルで記述されていた。
その結果、肉食を拒む人が動的なスタイルでコミュニケーションを取る場合、静的なコミュニケーションに比べて道徳的な脅威を呼び起こすことが少なく、傲慢だと思われることも少ないことがわかった。また、コミュニケーションのスタイルにかかわらず、(健康上の理由など)道徳的な理由とは別の動機から肉食を拒む人は、エシカルな動機で肉を食べないベジタリアン・ヴィーガンに比べると、脅威や傲慢として認識されることは少なかった。
動的なコミュニケーションのスタイルを取ることで、肉を食べる人々と肉食を拒む人々の関係を改善することが可能であり、これによって将来的に肉の消費を減らす方向へと人々を動かせる可能性がある。
Maike L.V. Weiper, Roos Vonk
2021/07/17
A communicational approach to enhance open-mindedness towards meat-refusers