論文概要
地球環境と公衆衛生における諸課題には現在の食料システムが関係しており、特に肉食が中心となっている西洋社会でプラントベースの食生活への大規模な転換が必要とされている。学校給食システムは広く普及し、多方面に影響を与えることが可能であるため、こうした変化において役割を果たすことができる。しかし、環境保護を目的とした食料政策が学校で実施されることについて、学校給食に携わる人々がどのように受け止めているかに関する知見は不足しており、こうした政策を学校コミュニティのニーズや期待と整合させるには限界がある。
本研究では、従来の知見におけるこうしたギャップを解決するため、肉食が中心となっているEU諸国の一つであるポルトガルの公立学校において、プラントベース食を推進する政策が保護者(104名)と教員(252名)からどの程度に支持されているかを調査した。
全体として、保護者に比べて、教員はこのような政策を支持する傾向がやや強く、プラントベース食に関してより前向きな規範(命令的規範および動的規範*)に賛同していた。教員はまた、健康や自然さ、持続可能性についての認識から、肉を使った食事をより否定的に評価しており、肉を使うことに対するこだわりは弱かった。
さらに、保護者と教員のいずれにおいても、プラントベース食の導入を命令的に求める規範は、学校におけるプラントベース食の推進をより支持する姿勢と結びついていた。教員では、肉へのこだわりが弱いことや、(プラントベースや魚を用いた食事などについて)食事の属性を肯定的に認識していることが、学校でのプラントベース食の推進を支持する姿勢と関連していた。
今後、学校において肉中心の食習慣を減らし、よりフレキシタリアン的な食習慣を実現することを目的として保護者や教員を対象とした取り組みや研究を行ううえでは、プラントベース食への移行に関連する社会的要因や動機に関わる要因を考慮する必要がある。
* ここでは、記述的規範(「人々はベジタリアン食を定期的に摂取している」)、命令的規範(「人々はベジタリアン食を定期的に摂取すべきである」)、動的規範(「人々はベジタリアン食の摂取を増やしている」の3つが検証されている。
Lisa Roque, Lúcia Campos, David Guedes, Cristina Godinho, Monica Truninger, João Graça
2023/02/27
Insights into parents' and teachers' support for policies promoting increased plant-based eating in schools