論文概要
人類と地球の健康を守るために赤肉や加工肉の消費量を減らそうという呼びかけに対して、政策関係者の関心が向けられつつある。しかし、これは食肉産業の利益にとっては潜在的な脅威となる。化石燃料やタバコなど、有害な他の製品の生産者が同じような脅威にさらされた場合には、業界の利益にとって有利になるように問題をフレーミング* するなど、政策行動を阻害するためにさまざまな戦術を使って対応することはよく立証されている。
赤肉や加工肉の消費による環境と健康への影響について、英国の食肉業界がどのようなフレーミングで議論しているかを調査するため、英国の食肉産業を代表する6つの組織のウェブサイトから入手した文書について、主題内容分析を行った。
データセットの全体から特定された主なフレームは、「まだ議論の余地がある」、「ほとんどの人は心配する必要はない」、「健康になるために肉を食べ続ける」、「環境に配慮するために肉を減らす必要はない」、の4つであった。これらのフレーミングは互いに連動して作用し、製品が及ぼす害についての認識を最小化すると同時に、消費の継続を促している。
こうしたメッセージは、他の有害な製品の生産者が採用してきた、古典的なフレーミングの仕組みを使って構築されていた。今回の研究結果の意義は、食品政策に関する議論が、食肉産業によるフレーミングによってどのように影響されるかについての知見を提供したことにある。
* メッセージを受け取った相手から感情的反応を誘発したり、意思決定に影響を与えたりするために情報を構成し提示する手法
Kathryn Clare, Nason Maani, James Milner
2022/03/31
Meat, money and messaging: How the environmental and health harms of red and processed meat consumption are framed by the meat industry